無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第8話

楽しいね
第8話 楽しいね

夜 女子部屋
女子たちは布団を広げて恋話コイバナをしていた。
「ね、ね、弥生ちゃんは好きな人いないの!?」
「べ、別に」
「え~本当に」
「うん」
「そっかぁ。弥生ちゃん可愛いから変な男とかに目をつけられたら私たちに言ってね。飛んで助けにいくから」
「う、うん。ありがとう」
(既に目をつけられてるんですが・・・・・)
「明日は朝が早いですから早く寝ましょう」
「は~い」
「おやすみ~」
「うん」
布団に入ったものの弥生は眠らず深夜まで起きていた。


男子部屋

「絶対爆豪一人くらいいるだろ!?」
「うるせぇ!」
上鳴が訊くと爆豪が怒鳴った。これが通常運転なので上鳴も今更気にしたりしない。
なんと男子たちも恋話をしていたのだ。
上鳴は爆豪に意中の相手を訊いていた。
「え~じゃあ轟は?」
「・・・・・・・・・別に」
「いつもより点々が長かった!?」
「・・・・・もう寝る」
「えぇ!早くね老人かよ!」
「上鳴お前補修じゃねぇのか?」
「ゲッ!そうだった!」
上鳴の関心が自分から外れて轟はホッとした。

深夜
「もし万が一何かあった場合私は組織の命令に従います」
「ああ」
「分かったわ」
「でも・・・・ねぇ、イレイザー、こんなに幼い子に汚い仕事を任せるなんて・・・・」
「いいんです。・・・・・私が選んだことですから」
「でも・・・・・」
なおも食い下がろうとするマンダレイ。洸汰がいるためか幼い子に汚い仕事はしてほしくないようだ。
「いえ。もう・・・・・いいんです」
顔をそむけて答えた弥生の目は硝子がらす玉のように虚ろだった。

翌日
「おはよ」
「おはよー」
「焦凍おはよう」
「おはよう」
「今日はみんなに"個性"を伸ばしてもらう。爆豪これ投げろ」
そう言って相澤が爆豪に投げて寄越したのはソフトボール投げのボールだった。
「おっ、成長具合か!」
「1Kmとかいくんじゃね!?」
「ほんじゃ・・・・・くたばれ!」
(・・・・・・くたばれ?)
「709、6mだ」
「あれ意外と・・・・」
「三ヶ月間の様々な経験を経て確かに君らは成長しただろう。だがそれはあくまで精神面や技術面、あとは多少の体力的な成長がメインで"個性"そのものは今見た通りそこまで成長していない」
相澤がニヤリと笑みを浮かべた。
「今日から君らの"個性"を伸ばす。死ぬほどキツイがくれぐれも・・・・死なないように」

みんなが個々の練習に意気込む中弥生は途方に暮れていた。
みかねたプッシーキャッツの二人と相澤が声をかけた。
ちなみにプッシーキャッツはマンダレイ、ピクシーボブ、虎、ラグドールの四人で構成されている。
「キティは"個性"に欠点らしい欠点がないからねぇ」
「・・・・実は試してみたい新技がありまして」
「ちょっとやってみてくれ。十分の一くらいの力で」
「はい」
弥生の髪が藍色に染まる。刀を曲線的に動かして衝撃波を作り出した。衝撃波は近くの木をなぎ倒してブーメランのように弥生の方へやってきてから霧消した。
「・・・・・一度最大倍率でやってみてくれ」
「いいんですか?」
「ああ」
弥生が拳を握って力をこめると弥生のまわりを風が吹き荒れた。あまりの衝撃に相澤とプッシーキャッツのマンダレイとピクシーボブが軽く後ろに吹っ飛んだ。周りの生徒も地面に転がる。弥生の髪と瞳が黄金に輝きだした。
弥生が飛ばした衝撃波は遥か遠くに見える大きな山を破壊した。更に木を根こそぎ倒してから弥生のところに戻ってくる。戻ってくる際も強風が吹き荒れた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・体力の上昇に努めることにします」
プロヒーローたちはそれがいい、と頷いたのだった。


夕方

「轟ーこっちにも火ィ頂戴!」
「人の手ばかり煩わせていては火のおこしかたも学べませんわよ」
正統派お嬢様の八百万が"個性"の創造でチャッカマンを創る。
「いや、いいよ」
「わー、ありがとー!」
弥生はこっそり轟の横顔を盗み見て目をみはった。そして小さく笑う。
「・・・・・?弥生どうした?」
「ううん」
(変わったな。私も、焦凍も)
「いただきまーす!」
「うめぇぇぇえ!」
「店とかで出てきたら微妙かもしれんがこの状況も相まってうめぇ!」
「言うな言うな野暮だ!」
「ヤ、ヤオモモカレー好きなの?」
カレーをがっつく八百万に弥生が問うと八百万は首をふった。
「いえ。特別好きなわけではありませんが、私の"個性"は脂質を様々な原子に変換して創造するので沢山蓄えるほど沢山創造することが出来るのです」
「てことは食べなかったらエネルギーの使いすぎで死んじゃうこともあるってこと?」
「えぇ。食べなかった場合は痩せてフラフラになってしまいます。常に満腹とは言いませんが小腹が満たされているくらいはないと沢山は創造出来ませんね」
「何が"個性"だ。本当くだらん」
ボソッと吐き捨てたのは洸汰。その呟きに気付いたのは緑谷と弥生だけだった。

「疼く・・・・疼くぞ・・・・・!早く行こうぜ!」
「まだ早尚。それに派手なことはしないでいいって言ってなかった?」
「ああ。急にボス面始めやがってな。今回はあくまで狼煙だ。虚ろにまみれた英雄たちが地に堕ちる。その輝かしい未来の為のな」


三日目の夜

「爆豪くん包丁使うのウマ!意外やわ・・・・・!」
うららかな少女、お茶子が感心したように言ったが爆豪はいつものごとくキレただけだった。
「意外って何だコラ。包丁に上手い下手なんざねぇだろ!」
無論これが通常運転なのでお茶子は今更気にしない。
隣で米をといでいた弥生が爆豪にいつになく真摯な視線を向けた。たじろぐ爆豪。見つめる弥生。
しばらくして弥生が口を開いた。
「爆豪くん・・・・・・カルシウム足りてないみたい。今度煮干しあげるね」
「ああっ?いらねぇよ!」

少ししてから弥生は轟の所へ向かった。
「焦凍がさ・・・・・・・・・もし・・・・・」
それきり弥生は話さない。轟は気長に待っている。
「もし・・・・・重い運命を背負った女の子が絶望していたら、焦凍なら何て言う?」
「・・・・時と場合による」
「それは・・・・・まぁ・・・・」
「素性も分からねぇ通りすがりに正論吐かれたって煩わしいだけだろ。言葉単体で動くってことはその言葉にそんだけ重みがあったってことで・・・・・大事なのは何をした人間に何を言われるか、だ。言葉には常に行動が伴う・・・・・と思う」
「そっか・・・・」
弥生は考え込むように深く俯いた。

「・・・・・さて!腹もふくれた皿も洗った!お次は・・・」
「肝を試す時間だぁーー!」
芦戸が楽しそうに言う。
「その前に大変心苦しいが補修連中はこれから俺と補修授業だ」
「ウソだろ!?」
芦戸が目をこぼれんぼかりに見開いて相澤を見た。
「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになっていたのでこっちを削る」
「うわぁぁぁぁあ!堪忍してくれぇぇぇえ!試させてくれぇぇぇえ!」
芦戸、上鳴、瀬呂、切島、砂糖が連れていかれる。
「はい、というわけで脅かす側先行はB組。A組は二人一組三分分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること!」

シーン・・・・・

賑やかしメンバーが全員補修に行ったので空気が神妙になっていた。
「脅かす側は直接接触禁止で"個性"を使った脅かしネタを披露してくるよ」
「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」
「やめてください・・・・・汚ない・・・・」
「なるほど!競争させる事でアイデアを推敲させその結果"個性"に更なる幅が生まれるというワケか。さすが雄英!」
飯田また謎の深読みを始めた。
「・・・・・お化け怖いな」
「お化け怖いのか」
「うん」
「大丈夫だ。幽霊なんて俺が蹴散らしてやるから」
「ありがとう・・・・・・!」
公衆の面前でイチャイチャする二人に緑谷が前々から感じていた疑問を口にした。
「あの・・・・・・ずっと思ってたんだけど二人って付き合ってるの?」
「うん」
「ああ」
「嘘だぁぁあ!」
「このクラスからリア充が・・・・・でるなんて」
こうして二人はクラス公認(?)カップルになったのだった。
「・・・・・・・焦凍とペアじゃないじゃない」
「草木の影から見守っておく」
「・・・・・それ使い方違う」