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第17話

掌握せよその2
第17話 掌握せよその2

『MC魂が!限界を迎えた!BGMに実況!それら無き催しに宿るソウルはない!』
「あってもなくても正直そんな・・・・」
『あってもなくてもっていうのはあった方が良いって事だぜマイティーボーイ!』
「あ、ちょっと・・・・・」
普通なら聞こえない距離だけど読唇術で聞いた。オールマイトの制止もむなしくプレゼン野郎は目良さんの所へ駆けていった。
『さァバイブスアゲてけレットーセー!始まったぜ卵とジャリのバトルがよォ!』
「返せー!ガキのおもちゃじゃねェんだよ!」
「転がらねー!思い通りに転がらねー!」
爆豪くんの籠手・・・・。さすがの爆豪くんも(失礼)意外と小さい子には手が出せないのかなぁ。
「そんな簡単に奪とられていいのかそれ」
「危ねーから外して置いとったんじゃクソが!」
『さぁチームダボハゼどうしたらいいかわからないという面持ちだ!』
「いいですけど講習なのでほどほどに」
『オケオケ!』
あんたが言っても可愛くないし、若くも見えないからね。相澤先生に止められてなければ今頃プレゼン野郎は首無しなのにな。
『ハウエバ何をどーしたらいいのさ何を所望よ先生』
「はい・・・・・夢に向かって励んでいらっしゃる皆さまと触れ合うことで真っ直ぐな気持ちを思い出させてあげれば・・・・・!」
「つまり皆と仲良くなればいいんスね!よーし!」
確かに(無駄に)フレンドリーな夜嵐さんなら向いてると思うけど。
「子守りなんぞとっとと終わらせて向こうの講習に参加だ」
『ああっと!さっそく野暮だ爆豪!雄英の火薬庫はどういうアプローチに出る!?』
・・・・・・・・あまりにも爆豪くんらしい酷い策だった。
放送事故が起きそうなので割愛。
「あのこんなことを言うのも差し出がましいのですが本当に大丈夫なんでしょうか」
「ご安心を余興です」
「ヤンキーは流行ってないよ」
「流行れや!」
流行り廃りの問題じゃないし、ヤンキーに流行りとかあるの?
突っ込んだら余計に混乱しそうだから心の中で突っ込んでおいた。
「まずお互いを知ることが仲良しへの近道ッスよ!」
夜嵐さんがとっとこと子供たちの所まで駆け寄る。
「ヒーローになりたい子ーー!」
『次鋒は士傑の子!』
「なるー」
「かっこいーし」
「おれ超つえーしー」
「そうかー俺もなりたいッス。熱さと情熱こそ滾る血潮ッスよね!」
何言ってるのかよくわからない・・・・・。
ケミィさんといい夜嵐さんといい士傑にはちょっとよくわからない人が多いな。
『何言ってんのかよくわからんけど何か良いぞ!?』
「皆の笑顔を守るのがヒーローッスよね!?先生を困らせる子は立派なヒーローになれるかな!?」
「・・・・・なれない・・・・・・・?」
お、伝わったかな?
「うん!それなら!!」
「でも・・・・!じゃあさ・・・・・!講習開いてもらって先生や公安の人たちのお仕事増やしてるお兄ちゃんもなれない・・・・・?」
「たしかに!」
いや・・・・・・・。一応夜嵐さんは士傑高校だからね。ヒーローとしての経歴は超エリートだからね。
「偉そうに語っていい立場じゃなかったッス!すいませんでした!」
「この子ら思ったよりヒン曲がってないーー?」
「だから言ったろ時には暴力も必要なんだよ」
・・・・・悲しいことにこの意見にかなり共感してしまった。
「爆豪それは違う」
「あァ?ウチはそうやって育てられてンだよ」
「もっとやりようはあるはずだ」
「・・・・・・・・ほほう、じゃあ見せてくれよお前のやり方をよォ」
「ああ」
煽られても顔色が変わらないのは胆が座っているのか鈍感なのか・・・・・。
『さーて次はお前か!』
「俺なりのやり方・・・・」
『冷静と情熱の間轟焦凍ォ!』
「焦凍ォ!」
エンデヴァーの偏愛・・・・・じゃなくて息子愛は本当にすごい。
間瀬垣小学校の女子生徒はみんな焦凍にみとれている。
「イケメンのイクメン見れるとか眼福ー」
「イケナイ、同じレベルになるわムシよムシ!」
焦凍には私がいるもん。
『さァどうやって距離を縮めるかこいつァは見物だぜェ』
確かに焦凍が小さい子たちと触れ合うの見たことないかも。
「ゴチンコはつまんねーからいいよ」
「それよりでかいゴリラ(夜嵐)からかおーぜ」
「俺はゴチンコじゃねぇ。ヒーロー志望のショートだ。現No.1ヒーローのエンデヴァーを父に持つが俺はずっと奴を憎み・・・・・・」
『人物紹介ページみたいな語りから入ったァ!』
「つまんね」
『総スカンだ!』
「悪い」
しゅんとうなだれて帰ってきた焦凍を私はよしよしと撫でた。焦凍も頑張ってるし、私も頑張ろうかな。
「じゃあ次、私行くね」
『おおっとォ!お次は雄英のマドンナ、星空弥生だ!』
私はいつ雄英のマドンナになったのかしら。まあいいわ。
「はい、鼻持ちならない餓・・・・・じゃない、小学生の皆さん」
『今鼻持ちならない餓鬼って言わなかった!?』
「礼儀の欠片もない君たちが何故偉そうにふんぞり返って平和に暮らせてるか解るかな?」
『雄英のマドンナ見た目に反して口が悪いぞ?』
「それはヒーローたちが体張って守ってくれるからだよね。ヒーローになりたいなら復唱してください。僕達、私達は公安の犬です。国民を守ることに身を捧げます。国民を守れない僕達、私達は虫けら以下の存在です。はい!」
「「「「ぼくたち、わたしたちはこうあんのいぬです。こくみんをまもることにみをささげます。こくみんをまもれないぼくたち、わたしたちはむしけらいかのそんざいです」」」」
『小学生に何てこと教えてんだ!?闇が深いぞマドンナ!』
「うんうん。そうだね偉い偉い。さあ何回も言って。それ以外考えられないようになるまで繰り返し続けようね」
「なにあの子催眠術者ー?マジウケる」
「ごめんこの子達洗脳するの時間かかりそう」
「───しょうがねぇなったく」
「ねーさっきから三人とも普通にやってる感じだけど"個性"で私たち見せた方がテットリ早くない?」
「俺もそれを言おうとしてたんだ!」
「ウッソマジキグー」
ケミィさん、ちょっと見直した。爆豪くん、ドンマイ。
「アイツらは俺らを困らせて楽しんでる節がある。かといって見下してる奴にボコられてもムカつくだけだ」
爆豪くん、普段からこれくらい冷静に話せばいいのに。普通の人っぽく見える(失礼)。
「溝は深ぇ。溝を埋めるんじゃなくて飛び込むんだ。実技デモンストレーションだ!」
「なんか話してるぜ」
「知ってるんだぜ俺たち」
「テレビは先生も親もヒーローもダメだっていつも言ってる」
「見せてやろうぜ!俺たちの方が大人よりデキるってことをな!」
「来いやガキ共相手してやるぜ」
私が幼い時はこんなのなかった。
私も一応ヒーローのはしくれだから養ってもらってる餓鬼んちょが何言ってるんだって感じ。
あなたたち子供が知らないところで頑張ってるんだよ。
「暴食魂!速くて見えなかっただろォ?すごいだろォ」
「舌戦車!」
「襲う塵芥!」
「バイラルコスモス!」
向かってくる"個性"の攻撃を自分たちの"個性"で防いだ。こんなお粗末な攻撃"個性"を発動させるまでもない。飛んできた輪っかを刀で両断した。
「なにィ!?俺たちの攻撃が効いてない!?」
「人様に躊躇なく攻撃するたァだいぶキてんな」
「もう講習とか関係なしにこの子たちと友だちになりたいッス」
「ヒーロー志望なら何しても構わねぇと思ってそうだ」
「・・・・・・だから子供は嫌いなの」
「みんなもっと攻撃するんだ!僕たちよりちょっと早く生まれただけで偉そうにしてる奴を倒してやろうよ!」
「私が行くわ!クイーンビーム!」
『君の可愛い顔が見てぇんだ。皺が寄ってちゃ台無しだろ』
鬼の形相の女子を止めたのは焦凍だった。
「はい!」
目をキラキラさせて返事をする女子。そのときフッ・・・と焦凍の姿が消えた。
「ごめーんマボロシー。でも言われてみたいよねぇ。うちの学校今どき異性交遊禁止だし。マジ渇望ー」
「みんな良い"個性"ッスね!でも振り回すだけじゃダメッスよー!」
全員が一斉に"個性"を使う。焦凍は大きな氷壁を、夜嵐さんは風で子供たちを、ケミィさんはオーロラの幻を。私は"跳んで"上から見るのと光を散らした。回りくどかったけど氷の滑り台ってこと。火の輪っかを作ったり、風でスピードを早くしたり。
「わお!」
「お、おお!」
「おおお!?」
「「「スゲーーーー!」」」
満足そうな子供たちはムカつくけど焦凍の笑顔が見れたのでまあ、いいかな。
「────っ!」
発作が・・・・・!
吐血した。私はもう長くない。間隔も狭まってきているし、吐血の量も多い。それに"個性"が暴走する頻度も高いし倍率が多分300倍くらいいってる。今は表には出てないけど・・・・・。
ちょっと降りよう。倍率をなんとか下げてフワリと降り立ち目良さんに一言ことわってから外に出た。
少しの間息を止めた。相澤先生がいないのに暴走させるわけにはいかない。
私は成人前には死ぬ。それはどんな"個性"や技術を持ってしても変えられない、変えようのない事実。弱さを人に見せるのが嫌い。そのせいで沢山無理してきた。どうして私はそれを分かっていながら焦凍を愛してしまったのか。幸せになんかなれない。運命に人を巻き込んではいけない。家族のことでよくわかってるくせに。
それでもまだ私は幸せを望む。

休んでいる間に仮免補講は終わったようだ。私は作り笑いを浮かべる準備をした。