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第10話

過去
第10話 過去

臨時HMホームルーム

「弥生の過去?」
「ああ。アイツがA組の皆に見せてほしいと」

相澤の招集で爆豪、耳朗、葉隠を除いたA組生徒とオールマイトは体育館に集まっていた。
「星空の過去を皆に見てほしい。本人が、言っていた」

『私にもしもの事があったらA組の皆に私の過去を見せてください』

「じゃあ・・・・・いくよ」
弥生の過去を見せるために呼ばれたプロヒーローが言った。一瞬爽やかな風が吹いた。皆が目を開けると景色はセピア色に染まっていた。

『っ!』
『きゃぁぁあ!』
『お父さんっ、お母さんっ!?』
『弥生、ここは俺たちに任せて逃げるんだ』
轟にそっくりな青年が言う。
『やだ。やだ。お兄ちゃんすぐ無理するだもん!絶対やだよ!』
弥生はまだ五歳ぐらいだった。轟にそっくりな青年が柔らかく、この上なく嬉しそうに笑った。
『弥生は本当に優しいんだな』
『お兄ちゃん・・・・なんか大嫌いなんだから!』
『・・・・・さ、早く行って。必ずまた会えるから』

グシャッ

弥生が走って警察署に向かっている後ろで恐ろしい音がした。
『お兄ちゃん・・・・・すぐ無理するんだから・・・・お母さん、お父さんも。私をからかって遊んでるんだよね・・・・・・っ』

「っ!」
「そんな・・・・・」

やがて弥生は叔父、叔母に引き取られた。
『あんたなんか要らないのよ!』
『痛ッ』
激しい折檻に弥生が身を捩る。
そして時が経った
毎日続く激しい折檻。幸せな毎日からの落差。失神するまで殴られたりした。
『っ!』
弥生を中心に黄金の光がほとばしった。
『うあぁぁあぁぁぁあ!』
弥生の手は・・・・・真っ赤な血に濡れていた。

「"個性"・・・・!」
「人を・・・・・!」

『私が殺したの・・・・・?』
弥生は呆然とした様子で家を出た。
しばらく路地裏を歩いていた。
『あれ、迷子?どうしたの?』
『大丈夫?』

「ヒーローだ!」
「・・・・・保護されるんだよね」

次の瞬間2人のヒーローはいきなり弥生を蹴りつけた。
『っ!?』
その後もヒーロー達は酷い暴力を奮った。
『おい、やりすぎじゃねぇ?大丈夫か?』
『大丈夫だって。こんな路地裏歩いてる奴は大体生きる価値ない奴だから。俺らのおかげで生きる価値出来たじゃん?人間サンドバッグw』
『それもそうかw』
弥生は"個性"がまた暴走しないようにするためか、必死に耐えていた。激しい暴言と暴力に涙を流す。

「ひどい・・・・!」
「こいつらはどこのヒーローだ」
相澤も静かに怒りを顕にする。
「弥生・・・・・・・・」

ヒーロー達が去っていくと弥生はペタンと座りこんだ。返り血と自らの血で汚れていた。美しい金髪も血で固まってしまい元の色が分からなくなってしまっていた。
『・・・・・死んでほしいんだって・・・・・・私には・・・・生きる価値が・・・・・ない、から』

「そんなわけ・・・・・!」
轟が思わず過去の弥生に向かって裏に入っていく。

勿論轟の叫びなど届くはずもなく。

弥生がついに倒れた。
『おや・・・・・君は』

「オールフォーワン・・・・・っ!?」
「こいつが・・・・・・敵連合のボス・・・・」
「弥生は昔、敵連合と接触していて・・・・そのうえオールフォーワンにも会っていたというのか・・・・!」

数年後
弥生は成長していた。数年間幽閉されていた弥生の眼差しは暗く。
『女の子が一人でこんなところにいたら危ないだろう?早く帰りなさい』
『・・・・・誰』
『俺は雄英高校で教師をしている玄羽だ!君は?』
『・・・・・・私は』
『ダメじゃないか。ヒーローを困らせたら』
オールフォーワンが平然と嘯きながら歩み寄ってきた。
『貴方はこの子の親御さんですか?』
『はい。娘が迷惑をかけてすみません』
『・・・・・・違うっ!この人私を拐ったんだよっ!助けて・・・・玄羽、先生っ!』
『おう!任せとけ!堪忍しろ敵!』
玄羽が"個性"である電撃を体に纏わせる。大きくジャンプしてオールフォーワンに掴みかかった。
しかし
『うわぁぁぁぁあぁぁあっ!』
玄羽の顔が、体が黒く染まっていく。
『玄羽先生!?』
『こいつはすぐに死ぬ。お前に関わったからだ。弥生、分かるか?お前に関わった奴は皆不幸になってやがて死んでいく』
『・・・・・』
『お前の家族だってそうだっただろう?今ならまだ助けられるぞ。また私のところに戻ってくるというのならね』
『・・・・・・・』
『俺は死なない!』
『どうかな』
そう言ってオールフォーワンが玄羽に手をかざすと玄羽は更に苦しみ悶えた。
『僕がとどめをささなくてもソイツは死ぬだろう。さぁ、どうする?』
『私・・・・・・』
『君は君のしたいことをしろ!生きて幸せを掴め!』
『幸せ・・・・?』
オールフォーワンはいつの間にかどこかへ消えていた。
『俺のことは忘れて。君は君の人生を生きるんだ』
声だけを残して玄羽は灰のように崩れて消えた。
『・・・・・・忘れられるわけ・・・・・・・・ないじゃない!』
どうして大切な人はすぐ私から離れてしまうの?
何で?
ねぇ何で?
ねぇ、先生?
ただただ頭が痛かった

ズキズキ

ねぇ、先生?先生なら答えをちょうだい?

ズキズキズキズキズキ

幸せって、なぁに?
大切な人を犠牲にしてでも生きること?

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

誰も残された人の気持ちなんか知らないで
私は守られてるから泣いちゃいけないの?
ねぇ
啼きたいよ
ねぇ

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

酷く、頭が痛かった

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

『誰か・・・・・助けてよ』
拳を地面にぶつける。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

血まみれになってもずっと

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

激しい痛みに弥生が倒れる

『君は・・・・・不幸な運命の巡り合わせのもとに産まれてしまったんだね』
1人の男が弥生を抱き上げる。去っていく男の背に雨が降り注いだ。

『ここは裏会という会でね。捨て子や迷い子を拾って殺し屋に仕立てているんだ』
『裏会・・・・・』
『どうする?生きたいなら殺し屋に。死ぬなら楽に。君が好きな方を選ぶといい』
『私・・・・は・・・・・・・・・・・』
弥生は長いこと考えこんでいた。
『・・・・・こんな質問、するじゃなかったかな』
男が弥生を殺すためにナイフを振り上げた。
『待って!殺し屋に・・・・・・なる』
『君が選んだことだという事を決して忘れては、いけないよ。俺は五十嵐。早速訓練の時間だ』
『はい・・・・』

「裏会・・・・・・?」
「・・・・・裏会は私たちのような汚ない大人が作ったものだ。表だって出来ない暗殺や、敵の処理、始末を頼んでいたんだ」
「オールマイト・・・・・」
「そんな・・・・・」
轟が手を握りしめる。

それからは地獄だった。血を吐くような訓練。折檻されていた頃よりも酷い暴力。ただ1つ弥生に救いがあるとすれば、そのきつい訓練は全て弥生のために行われている。と思い込んでいること。本当は裏会の利益になるから育てているだけで、用済みになれば殺されるか孤児になるしかないだろう。
『くっ』
『まだだ。まだ限界じゃない』
『はいっ・・・・・!』

弥生は長い間訓練を行った。

『これだ・・・・・殺し屋の完成形・・・・!』
目の色を変え、とても正気とはいえない表情で五十嵐は叫んだ。
その時弥生は知った。五十嵐たちが自分を一生懸命育てていたのは裏会の利益になるからだと。ふいに悟ってしまったのだ。弥生は泣かなかった。突き上げるような哀しさと虚しさに心が半分壊れてしまっていたのだ。それでも弥生が血を吐くような苦しい訓練を止めることはなかった。もはや何も感じなかっただけかもしれないし、復讐するつもりだったのかもしれない。

映像が終わった。爽やかな風が吹く。
「弥生は・・・・・・弥生はお化けが怖いなんて言ってた普通の高校生なんだ!確かに人は殺めているけど・・・・でも・・・・・!」
映像は終わっているのに轟は必死に手を伸ばそうとする。
「轟少年・・・・・。裏会は汚ない大人が作った会なのだから人を殺していても誰も責めることはできない。それに星空少女が裏会に従ったのは決して悪い事ではない。従わなかったら殺されていただろう。賢明な・・・・・・賢明な判断だった」
相澤が疲れたように言った。
「今日はもう帰っていい。家で安静にしておくように」

布団に寝転んでぼんやりと左手をみつめた。俺はいてもたってもいられなくて家を飛び出した。