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第14話

仮免試験
第14話 仮免試験

仮免試験当日

「降りろ到着だ」
緊張でいつもより口数の少ないバスに揺られやってきたのは国立多古場競技場。
「試験て何やるんだろう。ハー仮免取れっかなァ」
峰田がややソワソワしながら言った。
「峰田、取れるかじゃない取って来い」
いきなり声をかけた相澤に驚きながら峰田は返事をした。
「この試験に合格し仮免許を取得出来ればおまえらタマゴは晴れてヒヨッ子・・・・セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」
珍しく相澤が生徒たちを鼓舞するような言葉をかけた。
「っしゃあ。なってやろうぜヒヨッ子によォ!」
「いつもの一発決めて行こーぜ!」
「せーのっ」
「「「Plus ・・・・」」」
「Ultra !!」
「!?」
明らかにA組生徒じゃない声が雄英の校訓を高らかに叫んだ。みんながぎょっとして後ろをむくとそこには他校の男子生徒の姿があった。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
後ろにいた生徒にいさめられ男子生徒、イナサは
「ああ、しまった!どうも大変失礼致しましたァ!!!」
と叫び謝罪のために下げた頭を地面に打ち付けた。
雄英生はあっけにとられてイナサを見つめた。
というか雄英生じゃなくても驚く。
「あっ、そこの子めちゃくちゃ好みッス!連絡先欲しいッス!」
イナサが見ていたのは弥生だった。弥生は超美少女なのでイナサが魅了されたとしてもなんらおかしくない。
弥生は轟の影にサッと隠れる。
それを見たイナサは何も言わなかったが轟を憎々しそうに睨み付けた。
「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」
「飯田と切島を足して二乗したような・・・・・!」
上鳴と瀬呂がA組の意見を代弁するかのように叫んだ。
イナサをいさめた生徒が前者の言葉に微妙な顔をした。どうやら本当にテンションだけで乗り切る人らしい。
相澤がイナサを食い入るように見つめる。
「待ってあの制服・・・・!」
「あ!マジでか」
周りがザワザワする。
「アレじゃん!西の!!有名な!!」
「東の雄英、西の士傑」
爆豪が何故周りが騒いでいるのかよく分かっていなくてきょとんとしている人たちにも分かるように呟いた。
数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校、士傑高校。士傑を知らずにヒーローを目指す奴はモグリとすら言われる。
ちなみに雄英は自由な校則がウリで、士傑高校はめちゃめちゃ規律に厳しいことで有名だ。
「一度言ってみたかったッス!プルスウルトラ!」
イナサが叫ぶ。
「自分雄英高校大好きッス!」
地面に打ち付けた頭から血がドロっと流れた。
「雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みッス!よろしくお願いします!!」
流れる血を歯牙にもかけずイナサは叫ぶ。
「あ、血」
「行くぞ」
最後まで轟の影に隠れていた弥生をチラッと見てイナサと士傑の一行は去っていった。
「夜嵐 イナサ」
相澤がボソッと呟く。
「先生知ってる人ですか」
「すごい前のめりだな・・・・・」
「よく聞きゃ言ってることは普通に気のいい感じだ」
(私あの人あんまり好きじゃないなぁ。熱いし・・・・・熱いし、熱いし)
「ありゃあ・・・・・強いぞ。いやなのと同じ会場になったな・・・・」
(イナサとかいう人気配が異常だったな・・・・。色んな意味で)
「夜嵐、昨年度・・・・つまりおまえらの年の推薦入試。トップの成績で合格したにも拘わらずなぜか入学を辞退した男だ」
「え!?じゃあ一年!?ていうか推薦トップの
成績って・・・・・」
(実力は轟くん以上・・・・!?)
それに思い当たった緑谷がゴクリと唾を飲み込んだ。
「雄英大好きとか言ってたわりに入学は蹴るってよくわかんねえな」
雄英に合格したのはギリギリだという自覚がある人たちがうんうん頷く。
「ね、変なの」
「変だが本物だ。マークしとけ」
みんなは怪訝そうな顔をしつつとりあえず頷いた。
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
不意に若い女性の声が辺りに響いた。
「!」
相澤が死んだ魚のような目になった。
「テレビや体育祭で姿は見てたけどこうして直で会うのは久し振りだな!」
相澤がこの世の終わりのような顔をした。弥生も付き合い柄知り合いなのか相澤に同情するような顔をしてさりげなく後ろに下がった。
「あの人は・・・・!」
知っている人だったのか緑谷が声をあげた。
「結婚しようぜ」
「しない」
「わあ!!」
恋に興味あるお年頃の芦戸が歓喜の声をあげた。
「しないのかよ!ウケる!」
「相変わらず絡み辛いなジョーク」
死んだ魚の目になっても律儀に突っ込む相澤。
邪険にしつつも無視する気はないようだ。

「おお!本物じゃないか!」
「すごいよすごいよ!TVで見た人ばっかり!」
「一年で仮免?へえーずいぶんハイペースなんだね。さすがやることが違うよ」
なんやんかや紹介があって一番近くまで来た三人がそれぞれコメントした。
「傑物学園高校二年二組!私の受け持ちよろしくな」
ジョークがどこか含みのある顔で笑った。
「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」
真堂と名乗った男子が緑谷の手をとった。それから順々にA組の生徒の手を握ってまわる。
「えっあ」
ちなみにB組は同校での潰し合いを避けるため別会場で申し込んでいる。
「しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。すばらしいよ!」
みんなは戸惑いつつ会釈を返す。
「不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!」
そう言って真堂はバチッとウィンクした。
(((まぶしい)))
「ドストレートに爽やかイケメンだ・・・・・」
「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くん。君は特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりでがんばらせてもらうよ」
「フかしてんじゃねえ」
真堂が差し出した手を爆豪はビシッとはらった。
「台詞と面が合ってねえんだよ」
「こらおめー失礼だろ!すみません無礼で・・・・」
何故か少しも悪くない切島が謝った。
「良いんだよ!心が強い証拠さ!」
(((やっぱりイケメンだ!)))
「ねぇ轟くんサインちょうだい。体育祭かっこよかったんだあ」
弥生が轟の影から顔を出し、傑物学園の女子を睨み付けた。
「はあ・・・・」
状況をよく分かっていない轟が気のない返事をする。
「やめなよ。ミーハーだなァ」
「オイラのサインもあげますよ」
峰田は華麗に無視された。
「おいコスチュームに着替えてから説明会だぞ」
「時間を無駄にするな」
「はい!!」
「なんか・・・・・外部と接すると改めて思うけど」
「やっぱりけっこうな有名人なんだな。雄英って」
「それな」
「・・・・・・?」
ジョークが訝しげな顔で相澤とA組生徒を見比べた。
「ひよっとして・・・・言ってないの?イレイザー」
「・・・・・・」
相澤は答えず行ってしまった。弥生は無言で肩をすくめた。

試験会場にて
「多いな・・・・!」
「多いね・・・!」
緑谷と麗日が呟いた。二人が呟くのも無理はないくらい人は多かった。会場は決して狭くない。というか広い。にもかかわらず会場は完全に人で埋めつくされていた。
「えー・・・・ではアレ、仮免のやつをやります」
ちなみに弥生は裏会で"個性"使用許可を轟たちとはちょっと違う方法ですでに取得しているので今回の仮免試験には不参加だ。
「あー・・・・・僕、ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠。よろしく」
目の下にクマが目立つ男の人が眠そうな声で話す。「仕事が忙しくてろくに寝れない・・・・!人手が足りてない・・・・!眠たい!そんな信条の下説明させていただきます」
((((疲れ一切隠さないな。大丈夫かこの人・・・))))
「ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に」
(((そんなにいたのか)))
「勝ち抜けの演習を行ってもらいます」
「ザックリだな」
「まじか」
にわかに辺りがざわついたが、司会者目良が話し出すとすぐに静かになった。
「君たちは仮免許を取得し、いよいよ激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者、ハッキリ言って厳しい」
目良はそこで一旦言葉をきった。
「よって試されるはスピード!条件達成者先着100名を通過とします」
「「「「「!!?」」」」」
「待て待て1540人だぞ!?」
「五割が落ちるって聞いてたけど・・・・」
「五割どころじゃねえぞ!!?」
「まァ社会て色々あったんで・・・・。運がアレだっと思ってアレして下さい」
「マジかよ・・・・!」
「で、その条件というのがコレです。受験者はこのターゲットを三つ体の好きな場所、ただし常に晒されてある場所に取りつけて下さい。足裏や脇などはダメです」
目良が一瞬こっくりしたが受験者はそんなことは気にしないくらい試験内容に集中している。
説明が終わってから、
「えー・・・・・じゃ展開後ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから一分後にスタートとします」
「展開?」
轟が呟いた瞬間会場の壁が崩れはじめた。
「各々苦手な地形好きな地形あると思います。自分を活かして頑張ってください」
目良がそう言うと壁が完全に崩れ外の景色が見えるようになった。
(((ムダに大掛かりだな!!)))
「一応地形公開をアレするっていう配慮です・・・・・まァムダです。こんなもののせいで睡眠が・・・・」
(((本当に大丈夫かこの人)))

「イレイザー、チャック開いてる」
(なんで俺の周りにはこううるさい奴ばかりなんだ)
「しかし二十人とはなァ。おまえが除籍してないなんて珍しいじゃん。気に入ってんだ?今回のクラス」
「別に」
「ブハッ!照れんなよダッセェな!付き合おう!」
「黙れ」
観覧席に座り生徒たちを眺めている相澤とジョーク。弥生は用事があると言って外している。
「アッハッハ!しかしそれなら変な話だぜ」