※この小説には暴力的な内容を含みます。苦手な方や小説を間に受けてご本人のイメージが変わってしまう恐れがある方は読まないでください。
薄暗い部屋。
彼氏の風磨に頬を殴られて床に倒れ込む。
私の上に跨って何度も、何度も殴られる。
私を叩く手が平手から拳に変わると私を殴る音が部屋中に響き、その度に身体に痛みが増えていく。
でも、大人しくしてればいつか終わる。
だって、毎回そうだもん。
そして殴った後はいつだって・・・
私を抱きしめて風磨は殴った場所を優しく撫でるんだ。
だから、風磨を怒らせた私がいけないの。
悪い私を叱ってくれる、風磨は優しい人。
ずっとそう思ってた。
優しくなった風磨はそのまま寝てしまって、気分転換のために少し夜風に当たっていた私に声が掛かる。
急いで青くなった頬を隠すけどもう遅くて、中島さんの手によって私の手は顔から外された。
首を横に振る。
そんなこと言って中島さんから風磨の耳に入ったら、また叱られる。そう思った。
そう言って私を抱きしめる中島さん。
その温もりになぜかとっても安心したんだ。
これ以上抱きしめられたら、優しさに負けてしまいそうだったから慌てて中島さんから離れた。
中島さんはお財布からレシートを取り出すと、裏に自分の連絡先を書いて私に手渡した。
その日はそのまま中島さんも分かれて、風磨の待つ家に戻る。
風磨が起きた時に家に居ないと不安がるから、少し早歩きで家に急いだ。
だけど、
玄関の段差に座って、こちらをじっと見つめる風磨。
聞かなくても分かるくらい怒ってるのが雰囲気で伝わってくる。
座ったまま動かない風磨の横を通り過ぎようとしたときだった。
思いっきり手を引かれて、私は尻もちをついて廊下に座り込む。
さっき中島さんに抱きしめられた時に付いたんだって気づいたけど、そんなこと言えるわけなくて咄嗟に嘘を重ねていく。
私の髪を引っ張って寝室へと向かう。
風磨の顔に優しさなんて一切なかった。
寝室に投げ飛ばされて床に倒れ込む私に、風磨は容赦なく跨って拳を振り上げる。
風磨が感情をむき出しにする度に何度も何度も拳が降ってきて、私の顔に青い痣を作っていく。
もうやめてと懇願する力さえ残ってない。
だけど、さっき中島さんに渡された連絡先の書いたレシートだけは無意識にぎゅっと握りしめていた。
次第に私の首を絞める力が強くなって、息が出来なくなってくる。
それでも風磨は力を弱めることなく首を絞めつづけた。
ーピンポーン
私の脳裏に中島さんが過ぎった時、タイミングよくインターホンの音が部屋に響いて、風磨は私の上から降りて玄関に向かった。
息を整える呼吸音の合間に、玄関で風磨と中島さんが話す声が聞こえる。
「たすけて」
思いっきり叫んでみるけど、思うように声が出なくて、吐息になって声が漏れる。
そう言って私のいる部屋のドアを閉めた。
逃げだすチャンスもなくなった気がした。
声がちゃんと出せない今の私にとって、寝室のドアは外の世界を遮断する大きくて丈夫な鉄の扉のようだった。
その時、手に握っていたレシートを思い出して、上着に入っているスマホを急いで取りだした。
ープルルルル、プルルルル
コールするスマホ。
風磨が戻ってくるかもしれない。
中島さんのスマホを奪い取って風磨が出るかもしれない。
いろんなことを考えながら、コールするスマホを握りしめた。
扉の向こうとから直接聞こえる声と、スマホを通して聞こえる声。
バタバタと足音が響いて、中島さんが私を探していることが分かる。
ーガチャッ
中島さんは床に横になっていた私を抱き起こす。
私をそっと抱きしめる。
優しい温もりが伝わって、なんだか安心したんだ。
そう言って私をお姫様抱っこすると、中島さんは風磨の家の寝室を出る。
低くて怒りに満ちた声に体が震えた。
そう言って私を抱き抱えたまま、中島さんは風磨の家を後にした。
中島さんははにかんだように笑う。
中島さん・・・ううん。
健人は、私の頬にそっとキスをした。
fin
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来宝悠優さんリクエスト、
中島健人くん×菊池風磨くんの小説でした★
リクエストから時間かかってごめんなさい💧
DVと中島健人くんに助けられるという設定をいただいたので、初DV書いてみました。
苦手な方はすみません💧
助け出すケンティー♡
かっこよく助け出すケンティーに
メロメロになってください!w
みなさん感想くれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。