第57話

助け出して feat.中島健人×菊池風磨
21,216
2019/10/30 08:02
※この小説には暴力的な内容を含みます。苦手な方や小説を間に受けてご本人のイメージが変わってしまう恐れがある方は読まないでください。






あなた
・・・ッ!!
菊池風磨
菊池風磨
なんでわかってくれないの

薄暗い部屋。
彼氏の風磨に頬を殴られて床に倒れ込む。

菊池風磨
菊池風磨
なに、その目。
あなた
風磨、やめて・・・
菊池風磨
菊池風磨
文句あるなら言えよ!

私の上に跨って何度も、何度も殴られる。

私を叩く手が平手から拳に変わると私を殴る音が部屋中に響き、その度に身体に痛みが増えていく。




でも、大人しくしてればいつか終わる。
だって、毎回そうだもん。


そして殴った後はいつだって・・・


菊池風磨
菊池風磨
ごめんね、あなた。
痛かったよね?ごめん。

私を抱きしめて風磨は殴った場所を優しく撫でるんだ。

だから、風磨を怒らせた私がいけないの。
悪い私を叱ってくれる、風磨は優しい人。



ずっとそう思ってた。







中島健人
中島健人
あれ?あなたちゃん?
あなた
・・・えっ?

優しくなった風磨はそのまま寝てしまって、気分転換のために少し夜風に当たっていた私に声が掛かる。

中島健人
中島健人
あっ、中島健人です。
菊池と同じグループの・・・
あなた
あっ、こんにちは。
中島健人
中島健人
・・・頬、どうしたの?
あなた
あっ・・・

急いで青くなった頬を隠すけどもう遅くて、中島さんの手によって私の手は顔から外された。

中島健人
中島健人
ぶつけた?
あなた
・・・
中島健人
中島健人
もしかして・・・菊池?
あなた
・・・
首を横に振る。
そんなこと言って中島さんから風磨の耳に入ったら、また叱られる。そう思った。
中島健人
中島健人
大丈夫、菊池には言わないから。

そう言って私を抱きしめる中島さん。
その温もりになぜかとっても安心したんだ。
あなた
私がいけないんです。
私が風磨を怒らせちゃったから。
中島健人
中島健人
普通怒っても殴ったりしないよ
あなた
殴った後はいつも通り優しいし。私のために叱ってくれてるだけなのでっ!
中島健人
中島健人
だけど・・・

これ以上抱きしめられたら、優しさに負けてしまいそうだったから慌てて中島さんから離れた。
あなた
私、戻らなきゃ・・・
中島健人
中島健人
でも菊池の所に戻るんでしょ?
あなた
私には風磨しかいないの
中島健人
中島健人
そんなことないよ!自分から離れなきゃ、ずっとこのままだよ?
あなた
・・・いいからほっといて!
中島健人
中島健人
・・・分かった。でも・・・

中島さんはお財布からレシートを取り出すと、裏に自分の連絡先を書いて私に手渡した。
中島健人
中島健人
いつでも連絡して。
どんなときでもすぐ駆けつけるから。
あなた
ありがとう

その日はそのまま中島さんも分かれて、風磨の待つ家に戻る。

風磨が起きた時に家に居ないと不安がるから、少し早歩きで家に急いだ。


だけど、

菊池風磨
菊池風磨
どこ行ってたの?

玄関の段差に座って、こちらをじっと見つめる風磨。
聞かなくても分かるくらい怒ってるのが雰囲気で伝わってくる。

あなた
ちょっとコンビニ・・・
菊池風磨
菊池風磨
なんも買ってないじゃん
あなた
ほ、欲しいのが無かったの

座ったまま動かない風磨の横を通り過ぎようとしたときだった。
あなた
・・・きゃっ!

思いっきり手を引かれて、私は尻もちをついて廊下に座り込む。
菊池風磨
菊池風磨
誰かと会った?
あなた
会ってないよ
菊池風磨
菊池風磨
男の香水の匂いするんだけど

さっき中島さんに抱きしめられた時に付いたんだって気づいたけど、そんなこと言えるわけなくて咄嗟に嘘を重ねていく。
あなた
さっきコンビニでぶつかっちゃって。
それで匂い付いちゃったのかも・・・
菊池風磨
菊池風磨
ふーん
あなた
風磨、離して
菊池風磨
菊池風磨
なんで嘘つくの?
あなた
嘘なんかついてな・・・痛いっ!!

私の髪を引っ張って寝室へと向かう。
風磨の顔に優しさなんて一切なかった。
あなた
いやっ・・・風磨、やめて!
菊池風磨
菊池風磨
他の男と黙って会ってたくせになにがやめてだよ。お前が悪いんだろ!

寝室に投げ飛ばされて床に倒れ込む私に、風磨は容赦なく跨って拳を振り上げる。
あなた
(ビクッ) ごめんなさい・・・ごめんなさいっ
菊池風磨
菊池風磨
俺がどんだけ好きかわかってんのかよ
菊池風磨
菊池風磨
なんで伝わんねーの?
菊池風磨
菊池風磨
ふざけんなよ!

風磨が感情をむき出しにする度に何度も何度も拳が降ってきて、私の顔に青い痣を作っていく。

もうやめてと懇願する力さえ残ってない。




だけど、さっき中島さんに渡された連絡先の書いたレシートだけは無意識にぎゅっと握りしめていた。


あなた
・・・んっ、やめ・・・て・・・
菊池風磨
菊池風磨
俺から離れていくならいっそ消えて
あなた
んんっ・・・ふ・・・ま、

次第に私の首を絞める力が強くなって、息が出来なくなってくる。

それでも風磨は力を弱めることなく首を絞めつづけた。
あなた
くっ・・・(たすけて、中島さん・・・)

ーピンポーン



菊池風磨
菊池風磨
チッ

私の脳裏に中島さんが過ぎった時、タイミングよくインターホンの音が部屋に響いて、風磨は私の上から降りて玄関に向かった。
あなた
ハァハァハァハァ・・・
中島健人
中島健人
悪い、遅くに。
菊池風磨
菊池風磨
なに?どしたの?

息を整える呼吸音の合間に、玄関で風磨と中島さんが話す声が聞こえる。

「たすけて」
思いっきり叫んでみるけど、思うように声が出なくて、吐息になって声が漏れる。

中島健人
中島健人
菊池、ひとり?
菊池風磨
菊池風磨
いや、あなたいるよ。寝てる。

そう言って私のいる部屋のドアを閉めた。
逃げだすチャンスもなくなった気がした。
あなた
・・・たすけて、中島さん。たすけて、

声がちゃんと出せない今の私にとって、寝室のドアは外の世界を遮断する大きくて丈夫な鉄の扉のようだった。

あなた
あっ!

その時、手に握っていたレシートを思い出して、上着に入っているスマホを急いで取りだした。

ープルルルル、プルルルル


コールするスマホ。
風磨が戻ってくるかもしれない。
中島さんのスマホを奪い取って風磨が出るかもしれない。

いろんなことを考えながら、コールするスマホを握りしめた。
あなた
お願い、出て・・・
中島健人
中島健人
あっ、ちょっとごめん。・・・もしもし?

扉の向こうとから直接聞こえる声と、スマホを通して聞こえる声。
あなた
・・・たすけて、中島さん。たすけて
中島健人
中島健人
あなたちゃん・・・あなたっ!!
菊池風磨
菊池風磨
中島、勝手に上がるなよ!

バタバタと足音が響いて、中島さんが私を探していることが分かる。
あなた
たすけて・・・お願い、

ーガチャッ
中島健人
中島健人
あなたっ!!
あなた
・・・中島さんっ

中島さんは床に横になっていた私を抱き起こす。
菊池風磨
菊池風磨
中島、離れろよ。
中島健人
中島健人
お前なにやってんの?
菊池風磨
菊池風磨
こいつが俺から離れようとするから
中島健人
中島健人
んなこと関係ねーよ

私をそっと抱きしめる。
優しい温もりが伝わって、なんだか安心したんだ。

中島健人
中島健人
ねぇ、あなたちゃん。
本当に好きなら殴ったりしないよ?
あなた
うん、
中島健人
中島健人
殴るのは愛なんかじゃない
あなた
うん、
中島健人
中島健人
あなたちゃんが望むなら、なんだってするよ。どうしたい?
あなた
助け出して。この関係、終わらせたい・・・
中島健人
中島健人
よく言えました

そう言って私をお姫様抱っこすると、中島さんは風磨の家の寝室を出る。

菊池風磨
菊池風磨
待てよ
中島健人
中島健人
さっき聞こえたでしょ?もう終わりにしたいって。
菊池風磨
菊池風磨
あなた、そんなこと言ってただで済むと思うなよ。
あなた
(ビクッ)

低くて怒りに満ちた声に体が震えた。
中島健人
中島健人
あっ、悪いんだけど。
もう菊池の彼女じゃないから。
勝手に呼び捨てにしないでもらえる?

そう言って私を抱き抱えたまま、中島さんは風磨の家を後にした。











あなた
あ、あの・・・
中島健人
中島健人
ごめん。勝手に連れ出して・・・
あなた
ありがとうございます
中島健人
中島健人
え?
あなた
殴られるの仕方ないって思ってた。でも、心のどこかで助けに来てくれる人を待ってた気がする。
中島健人
中島健人
助け出すのは俺でよかった?
中島さんははにかんだように笑う。
あなた
中島さんがよかったです
中島健人
中島健人
"中島さん"ってやめてよ。
距離感じる(笑)
あなた
じゃあ、なんて呼べばいいですか?
中島健人
中島健人
"健人"・・・かな
あなた
健人、ありがとう。
中島健人
中島健人
ふふっ、
あなた
なんで笑うんですか!
中島健人
中島健人
だってすげー嬉しいんだもん
あなた
え?
中島健人
中島健人
俺、菊池に彼女って紹介された時からずっとあなたちゃんのこと気になってて・・・
あなた
えっ・・・///
中島健人
中島健人
俺は殴る代わりに抱きしめるから。泣かせたりしないから。
俺と付き合ってください。
あなた
・・・はい、

中島さん・・・ううん。
健人は、私の頬にそっとキスをした。

中島健人
中島健人
殴られた所もキスで上書きしてくから。
嫌な思い出は少しずつ忘れていこ。
あなた
ありがと、健人。








fin
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来宝悠優さんリクエスト、
中島健人くん×菊池風磨くんの小説でした★

リクエストから時間かかってごめんなさい💧

DVと中島健人くんに助けられるという設定をいただいたので、初DV書いてみました。
苦手な方はすみません💧

助け出すケンティー♡
かっこよく助け出すケンティーに
メロメロになってください!w

みなさん感想くれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!

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プリ小説オーディオドラマ