おばあちゃんちから送られてきた大量のりんごを持って、私は隣の亮ちゃんちへと向かった。
@亮ちゃんち前
ガチャっと開いた玄関から呆れたように顔を出した亮ちゃんは私の頭を突っつく。
近所では優等生で知られる亮ちゃんは昔から私に対しては言葉遣いが悪い。
私の頭を撫でてニカッて笑うと、亮ちゃんは私の手元のりんごへと視線を移した。
毎年りんごを送ってくれる時は亮ちゃんち家族分も含まれている。
だからなのか、亮ちゃんはなぜかおばあちゃんち電話番号まで知っていて家族ぐるみどころか親戚ぐるみの付き合いだ。
何度も来た亮ちゃん家。
迷うことなく亮ちゃんの部屋に入ってソファの下に座った。
ここが私の定位置で、いつも必ずここに座る。
そういって亮ちゃんが用意したであろう紅茶とクッキーの乗ったお皿をテーブルに置くと私の隣に座った。
いつもはソファに座るくせに今日は真横に座るから、近いその距離に胸がドキッとした。
私の頬に触れながらニヤリと笑う亮ちゃん。
そのいたずらっ子みたいな顔が妙にかっこよく見えて私は言い返すことが出来なかった。
お互い真っ赤な顔で黙るから静まり返った部屋。
胸のドキドキだけがさらに大きくなっていく。
恥ずかしくて距離を取ろうと腰を上げた私の腕が掴まれて、亮ちゃんの腕の中へと引き込まれた。
慌てて私を離すと、亮ちゃんは私と反対側を向いた。
また沈黙が続く。
いつもなら会話してなくても気にならないのに、今日はすごく気まずい。
こっちを見ることすらしない亮ちゃんはさっきからずっと「ごめん」と繰り返す。
沈黙が怖くて話しかけたいのになんて言えばいいのか分からなくて、私は咄嗟に亮ちゃんを抱きしめた。
亮ちゃんの笑う声を聞いて身体を離せば、亮ちゃんは優しく笑っていた。
急に驚いた表情で私を見る亮ちゃん。
亮ちゃんは私の方を向いて座り直すと、コホンと咳払いをした。
うちと逆側の亮ちゃんちお隣さんのお姉さん。
私も仲良くしてもらってるけど、お姉さんと接する亮ちゃんは私と接する時よりもずっと優しくて"好き"が溢れている。
「腹痛てぇ」ってお腹を抱えながら笑う亮ちゃん。
飛びかかるように亮ちゃんの方へと近づいた私は勢い余って亮ちゃんを押し倒してしまった。
亮ちゃんが床に寝転んで、私が亮ちゃんの顔の横に手をついて覆い被さっている状態。
傍から見ればとんでもない格好だ。
慌てて戻ろうとするのに、私の身体はなぜか動かない。
その理由はすぐに分かった。
亮ちゃんの腕が私の身体を抱きしめていて、私は亮ちゃんの上から動くことが出来なかった。
亮ちゃんは呆れた声を出してから、大きくため息をつくと私を離した。
すぐに元の位置へと戻ると、亮ちゃんもさっきみたいに私の方を向いて座った。
亮ちゃんは私の頭に手を乗せて、また呆れた声で笑う。
そう言って亮ちゃんに抱きいてキスすれば、亮ちゃんは驚いた表情で私を見た。
混乱してるのか、亮ちゃんはいつになく慌ててしどろもどろで、今までにこんな姿見たことない。
今日からは近所の仲良いお兄ちゃん兼、私の彼氏です。
fin.
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しゅんなつ︎💕︎さんリクエスト、
阿部亮平くん小説でした★
かなりお待たせしてごめんなさい🙏
近所の仲良いお兄ちゃんから恋人へ発展の
シチュエーションリクエストいただきました!
近所の仲良いお兄ちゃんってことで、
下の名前で〇〇ちゃんって呼ばせたくて、
阿部ちゃんにあまりイメージないけど、
"亮ちゃん"呼びにしてみました🙄
みなさん感想やいいねくれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!
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プロフィールからどうぞ✈
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。