手招きして私を廊下へ呼ぶクラスの女子たち。
また、"あの時間"が始まる-。
廊下に出ようとしたときに、教室の後ろで友達とふざけてた松村くんと目が合った。
小学生の頃から同じ学校だったけど、地味な私と対照的にいつも友達に囲まれている松村くんは一度だって話したことは無い。
女子たちが出した大きな声に、私は急いで廊下に出た。
-トイレ
人が滅多に来ない空き教室近くのトイレ。
声を上げても無駄だって分かってる。
トイレの床に押し倒されると、女子たちの蹴りが私の身体に何度も当たる。
何度も何度も蹴られて、頭や溝落ちを守るのに必死だった。
元々仲良しだったこの子たちは、高校2年になってすぐ私を虐めるようになった。
理由はリーダー格の子が好きだった人が私の事が好きだと言う噂が流れたから。
ただの噂だけで壊れた関係。
だけど、ひとりぼっちは嫌でずっと耐えてた。
女子グループの1人が水道にホースをつける。
床を這うように後退りするけど、直ぐに他の女子に捕まって私は個室の中へと閉じ込められた。
-ビシャー
水の音がトイレに響き渡る。
個室の上からホースを通して水が降り注ぐ。
避けることの出来ない狭い個室で、私は黙って水を浴びるしかなかった。
しばらくすれば飽きて居なくなる。
それまで我慢すればいいだけ。
-そう思ってた。
-キュッ
蛇口を絞める音と共に、松村くんの声が聞こえた。
女子たちは私を個室に閉じ込めたまま、トイレから出ていった。
-ギィーッ・・・
松村くんがドアを開けると、私は解放された喜びで力が抜けて床に座り込んだ。
そう言って自分の学ランを、びしょ濡れの私の肩にかけた。
ニコッて笑いかける松村くん。
私の腕を引っ張って、教室の方へと向かう松村くん。
びしょ濡れの地味な私と、学校内でも人気が高い松村くんがふたりでいるだけですれ違う人達は私たちに目を向ける。
松村くんはそんなこと全く気にせずに、教室までの道を進む。
そして教室でふざけ合ってる女子たちの前に行くと、なんの躊躇いもなく言い放ったんだ。
不敵な笑みでリーダー格の女子が私に話しかける。
私の肩を抱えて、私に勇気を与えてくれる。
松村くんは私に掴みかかろうとした女子を片手で止めて、もう片方の手で私を抱きしめる。
大声を出した私に舌打ちをして、女子たちは教室を出ていった。
私の頭を撫でて、松村くんは微笑んだ。
名前で呼ばれたことに恥ずかしくなって、
私は顔を真っ赤にした。
fin
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ブラックバードさんリクエスト、
松村北斗くんの小説でした★
リクエストから時間かかってごめんなさい💧
いじめられてるのさりげなく助けるっていう
設定だったけど、さりげなくないw
少女漫画にありそうな北斗くんでした!w
みなさん感想くれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。