うちのクラスは、「みんなと仲良くなろう」って目的で1ヶ月に1回くじ引きでの席替えがある。
そんな席替えなのに、私と京本くんは3回連続で隣の席になった。
私は1年の時から京本くんが好きで、3年でやっと同じクラスになれたからそれだけで嬉しかったのに。
クラス替えの度に隣になると、さらに仲良くなることを心が求め出す。
渡した消しゴムでノートに書いた文字を消すと、飛び切りの笑顔と共に消しゴムを返却してくれた。
この笑顔すごい好きだなって見つめてしまいそうになる。
そう言って消しゴムを私たちの机の真ん中に置くと、また授業に集中する。
書き間違えて消しゴムに手を伸ばした時、京本くんも消しゴムを使おうとしてて、少しだけ触れた指先。
細くて綺麗な指先にドキッとした。
そう言って私の手に消しゴムを乗せた。
一歩踏み出せないからなんの進展もなくて、京本くんとは隣り席のクラスメイトのまま、また席替えの時が来てしまった。
帰りのHR。運命のくじを引いて私は自分の席に向かう。
友達は喜んでくれるけど、私は隣が京本くんかどうかが気になって教室を見回した。
見つけた京本くんは、廊下側の1番後ろの席に荷物を置いていた。
私の席から1番遠い席。
仕方ないことなのになんだか寂しくて、京本くんから視線を離せないでいると、視線に気づいたのか京本くんと目が合った。
そっと近づいてきて話しかける京本くん。
涙が出そうで小さく返事することしか出来なかった。
もう消しゴム貸せないのかなとか、教科書一緒に見れないのかなとかそんなこと考えて、堪えてた涙が止まらなくなる。
必死に誤魔化すのに、明らかに嘘なのがバレている。
京本くんも困った顔してるのに、涙が止まらなかった。
大きな声で急にそう先生に宣言すると、教室中が京本くんに視線を向けた。
京本くんが指定したのは私の隣の席で、その席に座っていた男子は驚く。
それから必然的にみんな隣の席を見るから、泣いてる私にも視線が集まった。
席替えで誰もが望む、1番後ろの廊下側の席と聞いて隣に座っていた男子は荷物を持ってそそくさと席を移動した。
そう言うと、京本くんは私と京本くんの分の鞄と私の手を掴んで教室を出た。
校舎を出るまで無言だった京本くんは、急に私の方に振り返って頭をさげた。
京本くんが私の事を好き・・・?
思いもよらない発言に、私は言葉が出なかった。
言い終わると京本くんが私を抱きしめていた。
私を離してくしゃって顔で笑う京本くん。
その顔が綺麗で、京本くんが私を好きだってことがまだ信じられない。
そう言って一般的な手の繋ぎ方で私と手を繋ぐと、京本くんは私の方を向いた。
そう言って、繋がった手をカップル繋ぎにした。
私たちが付き合い始めた瞬間だった。
繋いだ手をぶんぶんと前後に振りながら、京本くんは笑った。
ふたりで目を合わせて笑って、手を繋いで歩き出した。
授業中も、放課後も。
いつだって、私の隣には京本くん・・・大我がいる。
fin
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🍌Hi丸💖さんリクエスト、
京本大我くん小説でした★
学校シチュエーションでリクエストいだいたので
隣の席の好きな人設定にさせていただきました💗
みなさん感想やいいねくれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。