第90話

イジワルで優しい人feat.猪狩蒼弥
18,050
2020/11/10 07:11
久しぶりの蒼弥とのデート。
大好きな動物園に来て、私はテンションが上がっていた。
あなた
わぁー!!蒼弥みて!ペンギン!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
言わなくても見てるって(笑)

ペンギンゾーンに駆け寄った私の後ろから歩いて着いてくる蒼弥。

クールというか、なんというか・・・
いつもこんな感じだから、クラスの友達にも熟年夫婦みたいって言われたりする。

あなた
ペンギン歩いてるー!可愛い!!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
なんであんな進化したんだろうな(笑)
あなた
えー、可愛いじゃん♪
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
ペンギンってあんな可愛い見た目して、野太い声で鳴くんだって。
あなた
ペンギンって鳴くの?
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
鳴くだろ(笑)
あなた
どんな感じ?
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
ホーホー

ペンギンの声マネを始めた蒼弥。

想像以上に大きな声で真似するから、一気に周りの視線が集まった。
あなた
ちょっと・・・声大きいっ///
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
なんであなたが恥ずかしがってんの?(笑)
あなた
だってそんな大きい声でやると思わなかったんだもんっ///
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あーあ、恥かいたー
あなた
そんなこと思ってないでしょ
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
俺に恥かかせた罪は重い

私に向かってふっふっふって不敵な笑みを浮かべる蒼弥。
なんだか嫌な予感がする・・・














猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
モノマネしてみ?
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
絶対あなた、この真似得意そう!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あー、こいつあなたに真似して欲しがってる
あなた
ちょっと!さっきからモノマネさせ過ぎっ!!

嫌な予感的中。

蒼弥はいろんな動物の真似を私にさせては、おもしれぇーってお腹を抱えて笑い出す。

猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あっはははっ(笑)
あなた
もう蒼弥サイテー!!

ちなみに、今はカバの前。
大きな口を開けてキャベツを食べるカバの真似をさせて、手まで叩いて笑っている。

猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
カバのモノマネ芸人になれんじゃね?(笑)
あなた
もうっ!普通、彼女にカバの真似させる?
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
だっておもしれぇもん(笑)
あなた
うわっ、ひどっ!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
先に俺にペンギンの真似させたのはあなたじゃん(笑)
あなた
そ、それはそうだけどっ
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あなたが動物の真似すんの面白いし(笑)

そう言って今度は先を歩き出す蒼弥の後を歩いた。

たしかに先に真似してって言ったのは私だけど、仕返しの度が過ぎるんだよっ、バカ蒼弥っ!

あなた
んー!!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
・・・ほら、行くよ

少し歩いた所で私が着いてこないことに気づいた蒼弥は、私の元まで戻ってくると、私の目の前で屈んで視線を合わせる。
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
ほら、手
あなた
うん、

拗ねたまま歩かない私の手を掴むと、蒼弥は歩き出す。

手を繋いだだけで、ちょっと機嫌が戻る私はかなりチョロいと思う。

手を繋いだまま蒼弥と動物園を歩いた。








猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あっ、チンパンジー
あなた
本当だぁー!

広い敷地を自由に動き回るチンパンジー。
走り回ってる子がいたり、遊具で遊んでる子がいたり。

なんだかまるで幼稚園みたいで微笑ましい。

猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あなた、チンパンジーの真似して
あなた
もう真似はしませんっ!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
すげーあなたに似てるのに(笑)

そう言って手すりに肘をついて身を乗り出すようにチンパンジーを見て笑い出す蒼弥。

真似してないのに似てるって・・・。
機嫌がまた悪くなって、段々眉間にシワが寄る。
あなた
もうちょっとかわいい動物に似てるって言ってくれてもいいじゃん!うさぎとかヒヨコとか!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
だって似てるじゃん!
ほら、あいつなんかすげー似てる(笑)

せめて子供のチンパンジーとかさ、可愛い要素多めのチンパンジーって言われるならまだ救いようがあるけどさ・・・

彼が指を刺したのは遊具の上で仰向けになってる大柄のチンパンジー。
あなた
もういいよっ!ばか!
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
キーキー言ってるとニホンザルにも似てくるよ(笑)
あなた
本当に最悪!

さすがに煽りすぎな蒼弥にムカついた私は、ひとりで先を行こうとした。

なのに、蒼弥は先をいこうとした私の手を掴んで引き寄せると、

猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
俺が1番好きな動物チンパンジーなんだよね


って、耳元で囁いたんだ。



あなた
そ、そんなんで許すわけないでしょ?!///

口ではそう返すけど、ちょっと嬉しくて顔が緩んでしまう。
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
ちょっと笑ってんじゃん(笑)
あなた
笑ってないっ!!///
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
はいはい、笑ってませんね(笑)

ヨシヨシって小さい子をあやすように私の頭を撫でる蒼弥。

悔しいけど、カッコイイから、さっきまでの怒りなんてどこかに吹き飛んでしまった。
あなた
じゃあ、チンパンジーとキス出来る?
猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
あー、それは無理

即答で、むしろ少し食い気味にそう言った蒼弥。

蒼弥が1番好きな動物であるチンパンジーに似てるって言われて、ちょっと嬉しくなってたのに、キスは出来ないって・・・

また私のテンションは下がっていく。
あなた
そっか・・・
なんかもう感情迷子。
怒りでも、悲しみでもない感情に耐えられなくて俯いた私。

そんな私の顎を持って私にキスをすると、蒼弥は周りに聞こえないくらいの声で言葉をこぼした。

猪狩蒼弥
猪狩蒼弥
だって俺、あなたとしかキスしたくねぇもん
あなた
・・・ッ///

顔を赤めた私を見て、ニヤリと笑った蒼弥は、
世界で一番イジワルで、世界で一番優しい人。





fin

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ガオちゃんさんリクエスト、
猪狩蒼弥くん小説でした★

動物園デートのお題をもらいまして、
なんとなく猪狩くんのイメージがツンデレなので
こんな感じに仕上げてみました💚

お待たせしてごめんなさい🙏

みなさん感想やいいねくれたら嬉しいです♪
お待ちしてます!

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