第5話
01 💚
「ただいまぁ!」
お風呂に入ろうと 着替えを持って脱衣所に行こうとしたところ
少しテンションの高い雅紀くんの声。
玄関から続く廊下の奥のドアから 少し顔を出して
「おかえり」と応えると。
「あなた、ぎゅ」
「ふふ、なに どしたの」
「いーから、来て」
言われるがままに とことこと雅紀くんの元へ行く。
細長い腕と共にふわりと包まれたのは 雅紀くんの匂いと
お酒の匂い。
「なぁんだ、酔っ払ってんのね」
「着替え持ってっけど⋯⋯お風呂入んの?」
話が少し噛み合ってないな とぼんやり思う。
「うん、今から入ろうと思ってた。
あ、雅紀くん先⋯⋯、っ」
私の言葉を遮ったのは
雅紀くんの唇。
雅紀くんが私に覆いかぶさるような 少し強引な体勢で
少し強引なキス。
「ん、! ぁ、まっ⋯」
お酒の味のそれは 激しく深くなっていくばかりで。
体勢が崩れて 彼が床に手を付いて私に覆い被さる。
意識と身体が追いつかなくなる。
「ん、っ雅紀く⋯⋯」
「ごめ、俺、」
言葉を交わすのも勿体無いと言わんばかりに
少しの間離れた唇は またすぐに重なる。