第20話

初恋?
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2022/07/21 02:13





「初恋ねー(笑)」


オレは隣のオマエに声をかける。


「ん?」


「オレじゃないんだ?」


オマエは顔を赤くする。


「あれはネタだからっ」


なんだ?
アワアワしちゃって(笑)


「そっ、れに、ウソでもないよ?
大学で初めて会ってさ、目がきらきらしててさ。
ほんとに、かわいーって思ったもん」


「ふぅん」


とある番組で、「初恋はいつ?」って質問されて、メンバーのひとりと会った時、って答えたオマエ。
てっきり、オレと会った時って言うのかと思ったのに?(笑)


「あなただっておぼえあるでしょ?
カッコいい同性に憧れたりとかさー」


「うん、そりゃあるよ。
だけど、それを恋とか言われちゃうとなー」


オレはオマエの背中にくっついて、両手をオマエのお腹に回した。


「恋って、やっぱ、キスしたい、とかって気持ちが混じるもんじゃねえ?」


「それはさ、経験がある人のことよ?
なんもわかんなくて、ただ、わー可愛い〜ってさ。
仲良くなりたいな〜ってさ。
みんな、初恋なんてそんなもんでしょ?」


オレはオマエの背中に顔をうずめた。
Tシャツを通して、あたたかなオマエの体温を感じる。
オマエの柔らかな良い匂いを胸いっぱいに吸い込む。


「初めてオレに会った時は?」


「熱い人だなーって」


思わずオマエを抱く両腕に力が入る。
後ろからぎゅーっと抱きしめてしまう。


「そんだけ?」


「……ふっくらした唇が」


ん?


「踊る体のラインも」


言いたいことを察してにやにやしちまう。


「ステキだな、って……。
色っぽい人だなって、圧倒されて。
おんなじ組になれて嬉しい、この人に認められたい、って思ったかな……」


かわいーヤツ。
あどけない言葉が嬉しかったから、オレはわざとからかった。


「唇、って、オマエ。
そこ見る?
経験なくて考えないはずなのに、エロいことも考えたの?
スケベぢゃん(笑)」


赤くなったオマエの耳を見ながら頭をぐりぐり背中にこすりつける。
手をもう少し下に動かしたら、きっと少し固くなったオマエの分身に当たる。


「柔らかそうって思っただけだよ!
エロいことなんて考えてないし!
……考えちゃったとしても、それは俺のせいじゃないもん」


「オレのせいでもねーし?」


オレは、後ろからオマエの分身をまさぐる。
あれ?
思ってるよりずっと……固くなって?


「……あなたのせい、だもん」


オレは黙ってオマエに触り続ける。
オマエの分身はアッという間に育ち上がる。

熱くて固くて、ドクドクと脈打つオマエの分身。
触ってたら、オレの方がたぎってきた。

オレはもう、どっちの心臓の鼓動が、早鐘のように鳴っているのかわからない。

オマエはたまらなくなったのか、体を揺らした。
優しく、でも断固とした様子でオレの両手をつかみ、自分から引き剥がすと、素早く身体の向きを変えてきた。


「あなたのせいだよ?」


欲望に燃えるオマエのまなざしと、ささやくような低い声が、オレを喜びで灼く。


「今だって」


「うんッ。
オレのせ……」


いつも通り、キスで、全部言わせてもらえなかった。
オマエは柔らかく舌を使う。
オレの上顎のざらざらを、何度も舐めるから思わず声が出る。
そのうち舌がからんで……飲み込みきれなかったヨダレを舐め取られる。
いつの間にかオマエの手がオレを愛撫してる。
オレは気持ち良くて気持ち良くて、身体をビクビクと動かさずにいられない。
オマエって、どうしてこんなに気持ちいいんだろ。




オレ、オマエに色っぽいって思われる自分で、ほんとに良かった!
この関係を、オレのせいだって、オマエが思ってくれるのが嬉しいんだ!

出会って3年、身体をつなぐようになってもうすぐ2年になる。

最初と変わらず、今もオレを見るオマエの目は熱くて、オマエの中でオレがどんなに特別か、オレに知らせてくる。
オマエは自覚ないだろ?
ふとした時に、何度も、何度も、オレを見る。
その視線がどんなに切なく愛しそうか。
笑いながら、バカを言いながら、それでもオレを見る視線の優しさに、オレはちゃんと気付いてるから。




触れ方は優しいのに、ためらいや容赦はない。
的確にオレの官能を導き出すオマエ。
もどかしさなんか感じた事ない。

愛情はいつもストレート。
焦らすかけひきもない。

いつも明るくオレを照らすオマエが、オレに自信と確信を与えてるって、知ってっか?


「……もっ……」


もうやめて、なのか、もっと続けて、なのか、自分でもわからない。
でもオレの声を聞いて、オマエはスピードをゆるめる。
唇の届く範囲全部にキスをしながら、


「かわい、い……かわいーよ?」


荒い息の間からつぶやいてくる。

確かにかわいーよ、オマエがな。












「ちょっと待って?」


「ん?」


「あなたは俺のことどう思ったの?」


「おもしれー男」


「うぉいっ!」


バカだなー、おもしろいなんて、最大の魅力なのに。
音楽的な基礎を持ち、芸能界長くて経験があり、お笑いに貪欲で、おまけに出会った時からオレを好きなんて、こんなおもしれー男、他にいるかよ(笑)
オレ、生まれて初めて出会ったんだかんな(笑)















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