第5話

同情なんかされたくねぇ
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2021/09/24 10:00
塀の陰に隠れた私は、敵が居ないか周りを確認する。



あなた 「デクくん、大丈夫…!?」



デクくんは、胸に刺さった矢を取る。


それとともに血も滴る。




ロディ 「待ってろ、すぐに薬を調達して…。」


緑谷 「き、傷は…そんなに深くない…。」



デクくんは、胸ポケットから粉々になったスマホを取り出す。



携帯電話が矢の威力を半減していた。





私達が話している間にデクくんと一緒に居た少年が、デクくんを応急処置する。




あなた 「ごめん……水壁で矢を止めようと思ったけど…無理だった。」


緑谷 「大丈夫だよ…あなたちゃんのサポートが無かったら、絶対にもっと酷い傷を負ってたよ。…ありがとう。」



そう言って、微笑むデクくん。


私はこの笑顔に、小さい時から救われてた。







デクくんの応急処置が終わると、私達はそこから
離れた場所に洞窟を見つけた。





一晩はそこに身を隠す事にした。

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄



私は洞窟の外に出て、夜空を見上げる。


今にも星が降ってきそうな圧巻の夜空をただ眺める。





洞窟の中では、デクくんと少年が話している。



少年の声が近づいてきた。



後ろを向くと、少年は入り口付近の岩に腰を下ろしていた。




私は空を見るのを辞め、洞窟の中に入った。




ロディ 「俺は先の事なんか、なんも考えられねえ。パイロットになりたいなんて寝言、言ってる余裕もねえ。」


あなた 「………なんで?」




少年とデクくんが、私を見る。



あなた 「あ…ごめんなさい…突然口挟んじゃって……つい。」


少年は、私を見たあと再び口を開いた。


ロディ 「幼い弟妹を養うだけで、いっぱいいっぱいだ。」


あなた 「っ!!」



緑谷 「ぼ、僕は……」



何か話そうとするデクくんに、少年は声を荒らげる。







ロディ 「何も言うなよ!同情なんかされたくねぇ!」



ロディ 「両親なくして周りからも避けられてさ…ッ!あんたらには分かんねぇだろ!?俺の気持ち!!」













あなた 「分かるよ。」


ロディ 「………え?」


緑谷 「あなたちゃん……。」




無意識に私はそう言っていた。








あなた 「………分かるよ。」

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