あなたside
"誰にも言うなよ"
大貴くんに言われた一言
本当は話したい
けど
『…なんにも言われてないよ?』
もしここで口を滑らせたら
風磨くんや健人くんの身に何か起こるかもしれない
それは絶対に避けたい
これ以上迷惑はかけれないから…
風磨「いい加減n」
健人「そっか、わかった」
健人くんが風磨くんの言葉を遮った
健人「あなたちゃん、今日は帰ろっか」
『え…?』
風磨『はっ?中島お前何言って』
健人「送ってくよ」
明らかに不満げな風磨くんを置いて
健人くんは私の腕を掴み車に向かった
私を助手席に乗せ運転席に乗る彼
健人「本当は何か言われたんでしょ?」
『…っ!』
健人「菊池に話しにくいなら俺に話して?」
私は誰にも頼らない
つもりだった
健人くんのバカ…
こんなに優しくされたら話すしかないじゃん…
『あ…あのね…っ』
健人「うん」
『大貴くんが自白して…俺らがやったって…』
健人「うん」
『お兄ちゃんが…邪魔だったからって…泣』
健人「…そっか、辛かったね」
健人くんは泣いている私をそっと抱きしめた
昔、お兄ちゃんにもしてもらったな…
なんて思い出したらまた涙が溢れてきて
泣き止むことが出来なかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!