お昼過ぎ、しげからメールが来た。
ー朝はありがとう。ほんまに。でも自転車で俺ん家まで来てたらレッスン大変やったんちゃう?
あ、そうそう、神ちゃんのおかげで注射とか検査、寝ちゃってて意識なかった。イエーイ!!
何か変なリアルなクマが「シャケ―!」って叫んでるスタンプと一緒に送られてきて、笑ってしまう。
しげが心配で元気がなかったのんちゃんが、笑う僕を見て不思議そうにする。
そんなのんちゃんにメールを見せると、
そう言って微笑んだ。
望はスタンプを見て、自分のスマホを取り出して、しげにスタンプ欲しいって催促メッセージ。
えぇ・・?普通そういうことする?
自分で買えばええのにね(笑)
そんな望に苦笑しながら、しげからのメッセージをもう一度見た。
しげが何かを抱え込んでるのか、それとも別にそうでもないのか、結局は分からない。
ー「ありがとう」
背中をさすってた時に小さく言ってくれた言葉。
ただ確かなことは、
しげは強いってこと。
ほんまに、強いんやってこと。
でも、しげとは親友なんやし、俺なりにしげのこと、これからも支える。
そんなことを思った日は、もう秋の匂いがしてた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!