漆黒の空にただひとつの満月が浮かぶ
光に照らされるのは12人の人影
半数は刀を抱え、揃いの服を着ている
青年は、呟くように、告げた
人影が一斉に動く
ある場所を目指して。
戦いの火蓋は今
切って落とされる。
スンスン
炭治郎が振り向く
目をつむり、耳に手をやる善逸
善逸が頷いたのを合図に、伊之助が呼吸を使う
少し間を置き、
立ち上がった伊之助と善逸は顔を見合わせた
確かめるように頷き合い、一斉に同じ方向を指す
義勇が暗がりに溶け込んでいく
鴉は、間もなく飛んできた
鬼殺隊が一斉に走りだし、その後をA組が追う
鬼殺隊員がヒーローの事を気にしながら走るという、
今までにはあり得ない光景がそこにはあった
まあ、それでも出久立ちは遅れ始めていた訳なのだが
この状態で手を貸さないという点に置いては
相変わらずだったが
置いていかないだけ大きな進歩なのだった
本物の鬼の恐ろしさを知らない彼らには
善逸たちは立派に鬼に値したそうだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!