第70話

ⅩⅩⅨ
3,465
2020/08/15 03:00
漆黒の空にただひとつの満月が浮かぶ
光に照らされるのは12人の人影
半数は刀を抱え、揃いの服を着ている
青年は、呟くように、告げた
冨岡義勇
冨岡義勇
……いくぞ。
全員
はい!!
人影が一斉に動く
ある場所を目指して。
戦いの火蓋は今
切って落とされる。




















我妻善逸
我妻善逸
炭治郎、まだ~?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
うーん……
スンスン
竈門炭治郎
竈門炭治郎
……匂いが分かれてる
竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸、伊之助、どうだ?
炭治郎が振り向く
我妻善逸
我妻善逸
……
目をつむり、耳に手をやる善逸
我妻善逸
我妻善逸
ん。
善逸が頷いたのを合図に、伊之助が呼吸を使う
嘴平伊之助
嘴平伊之助
獣の呼吸 漆の型 空間識覚
少し間を置き、
立ち上がった伊之助と善逸は顔を見合わせた
確かめるように頷き合い、一斉に同じ方向を指す
伊之助&善逸
伊之助&善逸
こっち
冨岡義勇
冨岡義勇
了解。見てくる
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
いけそうなら鴉飛ばしてくださいね
冨岡義勇
冨岡義勇
ああ
義勇が暗がりに溶け込んでいく
鴉は、間もなく飛んできた
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
いくよ
鬼殺隊が一斉に走りだし、その後をA組が追う
鬼殺隊員がヒーローの事を気にしながら走るという、
今までにはあり得ない光景がそこにはあった
まあ、それでも出久立ちは遅れ始めていた訳なのだが
A組
ゼエゼエ
この状態で手を貸さないという点に置いては
相変わらずだったが
置いていかないだけ大きな進歩なのだった
我妻善逸
我妻善逸
……早くしてください
A組
(鬼……!)
本物の鬼の恐ろしさを知らない彼らには
善逸たちは立派に鬼に値したそうだ

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