第47話

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2020/07/23 03:00
着きました。失礼します。
緑谷は降ろされ、アイマスクとイヤーマフを外す
緑谷出久
緑谷出久
ここはどこですか?
病院にも見えるが、なにか違う
リノリウムの床はなく、どこか古めかしい雰囲気がした
ここは鬼殺隊士にとっての病院のような場所です
私たちは蝶屋敷とよんでいます
それだけ言い残し、別の隠と交代する
見分けはつかない


隠はそっくりなのだ


顔じゃなく、見た目が
こちらへどうぞ
いわれるがまま着いていき、立ち止まったのはある和室
奥には、いつかの男女が座っていた
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
こんにちは
緑谷出久
緑谷出久
あ、ここんにちは!
不死川玄弥
不死川玄弥
緑谷さん。あなたを助けていただいたこと感謝します
緑谷出久
緑谷出久
え…?
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
あなたが振った刀。いつもより刃こぼれがひどいんです
不死川玄弥
不死川玄弥
あなたのではない。なら、あなたでしょう。
確かに出久は刀を振った
だが、刃こぼれなんて普通気づくだろうか


否、この二人は普通ではなかった
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
単刀直入に聞きましょう。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
なぜあなたは鬼を狩ったのですか
昔より幾ばくか豊かになった表情を怒りに染め、


緑谷を睨むように見つめる
不死川玄弥
不死川玄弥
鬼を切れば最後、世間から白い目で見られることだってある
不死川玄弥
不死川玄弥
あなたへの得は感じられません
ヒーローとは得で動くもの
彼らの共通認識だ
実際、そういう奴も中にはいる
彼らは人より、そいつらに会う確率が高かった
だからA組の面々も、そうだと思っていたのだ
だが、その予想は大きく外れていた
緑谷出久
緑谷出久
…きっと、得とかじゃ無いんです

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