鬼とは、元来より人を食って生き長らえます
傷口に血を浴びるなど、鬼のDNAを取り込むことで、人を鬼にして繁殖します
人には戻せないのかしらケロ
戻す術は無いとは言いませんが、使う気もありません。
人は人を喰らわない。
喰らった時点でそれは鬼となる
鬼を助ける義理はございません
食わねえことだってあるだろ
ええ、可能性としては十分に
可能性としては、ね
なら…
何かを続けようとした彼の声に被せ、私は告げる
ただし
ほとんどの鬼は鬼になった時点で人を喰らう衝動を押さえられなくなる
肉親や友人、真っ先に喰らうのは皆大切な人
それでもあなた方は生きたいですか?
…
誰も何も言わない
鬼は悲しい生き物です
殺された人のため、これ以上被害者を出さないため…
私たちは鬼の頸に容赦なく刃を振るいます
けれど鬼であることを苦しみ自らの行いを悔いているものを踏みつけにはしない
鬼は人間だったから私たちと同じ、人間だったのだから
それを踏まえたうえで、私たちと関わるかどうかは
皆さん次第です
ヒーローを目指す皆は、きっと納得できないだろう
そうだとしても、それはそれで構わない
そこはもう、私の管轄外だから
それに私たちが進んで関わることは、あり得ないのだ
私達は、ヒーローを憎んでいるから
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。