【そらるさん】
最近、俺の彼女が少し素っ気ないような気がする。
………もしかして、浮気?
そうだとしたら、その相手、処理しないとね?
もちろん、それだけじゃ気が済まない。
あなたにもお仕置きしとかないと。
もう二度と、俺から離さないようにするために。
お仕置きは何がいいだろうか?
火炙りとか?
冷凍庫に放置とかもいいかも。
そんなことを考えていると、キッチンの隅に、綺麗に並べられた包丁が目に入った。
………ああ、あったじゃん。
火炙りよりも、冷凍なんかよりも。
ずっと確実な方法が。
殺しちゃえばいいんだ。
それで、一緒に俺も死んじゃえはいいんだ。
そしたら、ずっと一緒にいられるから。
そしたら、離れることなんかないもんね?
ガチャッ
俺の彼女が帰ってきたみたいだ。
さてと…お仕置き、しないとね?
俺は、少し前に隠し撮りをしていた男の写真を見せる。
その瞬間、あなたの表情が若干変化した。
やっぱり浮気してるんだ。
俺の、俺だけのあなたなのに。
ねえ、どうして?
どうして俺から離れていくの?
もう、二度と離れられないようにしてあげるよ。
何かモゴモゴと口を動かしているが、もう遅い。
言い訳をしたって、許さない。
俺の愛を裏切ったのは、君なんだから。
そう言って俺は、キッチンにあった包丁を手に取った。
ほら、やっぱりしてるんだ。
まあ、その答えももはやどうでもいいけどね。
だって、俺達はこれから永遠の愛で結ばれるんだから。
その瞬間、俺はあなたの心臓に包丁を突き刺した。
あなたは刺された瞬間、どこか絶望したような、それでいて納得したような表情をしていた。
そして溢れる血と共に地面に倒れ込み、息絶えた。
息絶える瞬間、何かボソッと言っていた気がするけど………まあ、いいや。
そうして、俺も自分自身の心臓に包丁を突き立て、血だまりに寝そべる。
ああ、もうすぐ、あなたの本当の愛で結ばれる。
もう二度と離れない、いや、離れる事の出来ない愛で、永遠に結ばれるんだ。
大好きだよ、あなた。
永遠に。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!