【まふまふ】
最近、僕の彼女の帰りが遅い気がする。
今日だってそうだ。
それで、理由を探るために尾行してた。
そしたら、知らない男と道端で喋ってたんだ。
仕方がないから、その男は僕がきちんと殺したよ?
だって、あなたに近づくのが悪いんだもん。
そしてある日───
あなたは、僕の名前を呼ぶと、その場で固まって動けなくなってしまったらしい。
まあ、そりゃそうかw
なんせ、僕の目の前には、血だらけになった男共がたくさん倒れてるんだから。
慌ててあなたは携帯を操作し始める。
それを俺はあなたの手を叩いて阻止した。
だって………ねぇ?
こんなところで邪魔されちゃ困るんだよ?
あー、気付いてないパターンねw
本当に僕の彼女さんは鈍感なようでw
僕は、全面に血が付着している包丁をあなたに見せた。
………そうだ。
最初からそうすれば良かったんだ。
僕はなんてバカだったんだろう。
こんな男共なんか殺さなくても、あなたとずっと一緒にいられる方法があったのに気付かないなんてw
そう言うあなたは、震えて怯えていた。
なんて可愛いんだろう。
この可愛さを、僕のものだけに出来たらいいのに。
ああ、僕だけの可愛いあなた………。
僕は、君の事をすごく愛しているよ?
………でも、どうして?
どうして、そんな怯えた顔をしているの?
ねえ、答えてよ………?
やっぱり、こいつらと浮気してたの?
そうだよね?
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
ねえ、もういいよね?
悪いのは、全て君なんだから。
それからは、あっという間だった。
あなたは抵抗もせず、呆気なく息絶えた。
正確には、抵抗する間もなかったと言う感じだったけど………結果オーライだもんね?
そして、僕もあなたの後を追うように、自分の心臓に包丁を突き刺した。
刺した瞬間は確かに痛かったけど、あなたと一緒になれるんだからいいよね………?
徐々に冷たくなっていく体温を感じながら、僕は横で倒れているあなたを抱き締める。
『これで、ずっと一緒にいられるね。』
そんな小さな呟きは誰にも聞かれることなく、少年と少女の生命は儚い灯火のように消え去っていった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!