ころんさんは…
黙ってる。
私が言えってことか……
私はさっき、さとみくんに話したように
事故を起こして、美結さんを
殺してしまったこと、
その代償として
結婚することになったこと、
全てをみんなに話した。
正直、’’旦那さん’’と思ったことはない。
思わなくても、上手く’’演じれ’’ば良かったし…
なんと思ってる…
1番困るな…
私なら、出来ない。
ころんさんも同じだから、
私に対して、あの態度をとるのだろう…
私もころんさんの立場だったら、
同じ事をしていたと思う。
ピコンッ
それは確かに、否めない。
でも…、ちゃんと、
好きな人と結婚しなくてもいいのだろうか。
美結さん、ただ1人だったのかな、
ころんさんが’’本当に’’愛した人は。
私は、…私に出来ることをしなきゃ。
『美結に似ている。』
そう兄に言われたことがある。
なら、……
美結さん、ごめんなさい。
私、美結さんになりきろう…。
ころんさんが本当に愛した、美結さんに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!