第6話

No.6
4,597
2021/05/19 14:30
柏田拓海
なあ、姉ちゃんって好きなやつとかいんの?







拓海がそんなことを言い出したのは、突然だ。





宿題でわからないところがあるから教えろと頼まれ、部屋に行って教え終わった直後のことだった。







あなた

...急にどうしたの?

柏田拓海
いや、なんとなく







なんとなく、って。





あんまり明確な理由になってないような...。







あなた

...








好きな人かぁ。





そう言われて最初に思い浮かんだのは、青柳くん。





...いや、なんで青柳くんが最初に思い浮かぶのさ。





青柳くんは同じ図書委員で、隣のクラスで...。





友達でもなんでもない私なんて、眼中にないはずだし。





というか青柳くんはイケメンだから、私よりももっと可愛い女子が...。





って、なに考えてるんだろ私。







柏田拓海
俺はてっきり、あの二色の頭のイケメンが好きなのかと思ってたんだけど
あなた

え、それって、青柳くんのこと?

柏田拓海
ふーん。青柳って名前なんだ







拓海はシャーペンでペン回しをしながら、口を開く。







柏田拓海
前に下校してるところ見たんだよ。その時はその人と姉ちゃんだけで、結構仲良さそうだったからさ。あ、これなにかあるな〜、って思ってたんだけど
あなた

え、いつの話?

柏田拓海
わすった







私が青柳くんと一緒に帰ってる時って、いつだっけ。





しばらく考えていて、思い出した。





確かその日は二人で図書委員の当番をしてて、終わったあとに途中まで一緒に帰ったんだっけ。





あの時の、見られてたのか。







あなた

あの人は私と同じ図書委員だよ。クラスも違うし、別になんともない

柏田拓海
ふーん。つまんね







聞いといてなによその態度は。





全く、可愛くないんだから。







あなた

そういう拓海は?好きな人いるの?

柏田拓海
いねぇよ。てかうちの中学の女子、まともなやついねーし







それこそつまんないじゃん。





てか、女子に向かってそんなこと言わないの。







柏田拓海
姉ちゃんもう高校生なんだし、さっさと彼氏つくれよ
あなた

私に彼氏なんてできないってば。てか、なんでそんなこと言うの

柏田拓海
え、単純に姉ちゃんの彼氏さんが見たいから
あなた

なんでよ

柏田拓海
なんとなく







あっけらかんと言う拓海に、私はため息をついた。





だからそれ、ちゃんとした理由になってないんだってば。

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