お昼のことだった。
私は中庭に行こうと、お弁当箱と水筒を持って席を立つ。
別に教室で食べてもいいんだけど、今日はなんとなく外で食べたい気分なんだよね。
教室を出た瞬間、名前を呼ばれて振り返る。
見れば、東雲くんが私を見つめていた。
というか寝る場所探してたんだ。
この短時間でよく寝れるなぁ。
そう言うと、東雲くんはにっこり笑った。
***
中庭に来たところで、東雲くんが声を上げる。
まあ確かに、風通しも良さそうだからね。
...ん?
人影が見えて、少し近寄る。
と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
この声...天馬先輩だ。
でもどうしたんだろ、なんか慌ててるように見えるけど。
東雲くんが先輩の声を聞いて、僅かに顔を顰める。
まあ、わからなくはないけどさ。
一応先輩だからね?
あ、なんか悪い顔してる。
東雲くんって、なんか企んでる時はこんな感じの悪い顔になるんだよね。
前に青柳くんが言ってたのを覚えてるんだ。
そういう問題じゃないと思うんだけど...。
東雲くんがからかおうとしていることなど知らず、天馬先輩はそう言い返す。
というか、クモ?
ふーん。
ほんとかな。
さっきの慌てっぷりを見る限り、絶対苦手なんだと思うんだけどなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。