第13話

No.13
3,627
2021/06/04 15:25
お昼のことだった。





私は中庭に行こうと、お弁当箱と水筒を持って席を立つ。





別に教室で食べてもいいんだけど、今日はなんとなく外で食べたい気分なんだよね。







東雲彰人
お、柏田さん







教室を出た瞬間、名前を呼ばれて振り返る。





見れば、東雲くんが私を見つめていた。







あなた

東雲くん。どこか行くの?

東雲彰人
まあな、ちょっと寝られる場所ねぇかな、って。柏田さんは?
あなた

えっと、私はお昼ご飯を中庭で食べようと思って








というか寝る場所探してたんだ。





この短時間でよく寝れるなぁ。







東雲彰人
中庭か...。じゃあ、一緒に行かない?中庭なら寝れるところもありそうだしな
あなた

うん。東雲くんがいいなら、一緒に行こう








そう言うと、東雲くんはにっこり笑った。









***









東雲彰人







中庭に来たところで、東雲くんが声を上げる。







東雲彰人
あの木陰いい感じに寝られそうだな







まあ確かに、風通しも良さそうだからね。





...ん?







あなた

ねぇ、誰かいない?

東雲彰人
ほんとだ。先客か?







人影が見えて、少し近寄る。





と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。







天馬司
あ、ああ待て待て待て!降りるな!そこにはオレのハンカチが...!







この声...天馬先輩だ。





でもどうしたんだろ、なんか慌ててるように見えるけど。







東雲彰人
あー、あいつかよ。うるせえな...







東雲くんが先輩の声を聞いて、僅かに顔を顰める。





まあ、わからなくはないけどさ。





一応先輩だからね?







東雲彰人
ま、ヒマだったしからかってやるか







あ、なんか悪い顔してる。





東雲くんって、なんか企んでる時はこんな感じの悪い顔になるんだよね。





前に青柳くんが言ってたのを覚えてるんだ。







あなた

やめなよ東雲くん。先輩だよ?

東雲彰人
わかってるって。ほどほどにする







そういう問題じゃないと思うんだけど...。







東雲彰人
センパーイ、何してるんすか?そんなへっぴり腰で
あなた

ちょ、東雲くん...!

天馬司
へっぴり腰だと!?何を言うか、オレは今、ランチを邪魔する不届きなクモに勇敢にも立ち向かおうとしているところなのだ!







東雲くんがからかおうとしていることなど知らず、天馬先輩はそう言い返す。





というか、クモ?







あなた

天馬先輩、クモが苦手なんですか?

天馬司
そ、そういうわけじゃない!オレは大事なハンカチがクモに汚されないようにだな...!







ふーん。





ほんとかな。





さっきの慌てっぷりを見る限り、絶対苦手なんだと思うんだけどなぁ。

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