朝。
学校に登校していつも通り本を読んでいると、東雲くんが笑顔で挨拶をしてくる。
東雲くんって、なんか人によって性格コロコロ変わるよね。
もしかして二重人格...いや、さすがにないか。
突然そう言って教室に顔を出したのは、A組の白石杏ちゃん。
確か、風紀委員だったっけ。
話したことないからわかんないけど、そうだった気がする。
あっけらかんと言う白石さんに、呆れたような表情をする東雲くん。
そんな二人のやり取りを見て、思わず笑ってしまった。
あわわ、もしかして私のせい?
睨み合っている二人に駆け寄り、私は慌てて弁解する。
えぇ...。
東雲くん、ちっとも悪くないよ?
そう言うと、東雲くんは安心したように笑った。
ガッシと急に両手を握られ、私は驚いて声を上げる。
そう言うと、杏ちゃんは嬉しそうに笑った。
すごい明るい子だな、やっぱり。
杏ちゃんの言葉に、東雲くんが呆れたように言う。
そのやり取りを見て、私は再び笑った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!