東雲くんへの話が終わると、天馬先輩は私の方を向いて話しかけてくる。
てか青柳くん、私のことなんて言ってたんだろ。
ちらりと横にいる青柳くんを見る。
青柳くんは東雲くんと話していて、こちらには気がついていないようだった。
突然天馬先輩から出た言葉に驚き、私は思わず声を上げる。
神代先輩が、少し意地悪そうな表情をする。
私は再び青柳くんの方に目を向ける。
青柳くんが好き、だなんて。
わからないよ。
青柳くんは私と同じ神山高校の図書委員で、隣のクラスで、共通の趣味があって、それで...。
相談ってなんのことだろ。
まあ、いっか。
この二人って、いつもこんな感じなのかな。
そう思いながら見つめる私の横で、青柳くんはにっこり、東雲くんはげんなりした表情で彼らを見つめている。
と、青柳くんが私の方を見て口を開いた。
突然かけられた言葉に驚きつつも、私は急いで頷く。
実は前から青柳くんの連絡先、知りたかったんだ。
まさか本人が交換しよう、って言ってきてくれるとは思わなかった。
少し、いや...かなり嬉しい。
青柳くんの言葉を聞いて、東雲くんも同様に私に言った。
天馬先輩、神代先輩、東雲くん。
そして、青柳くん。
なんか、すごい人たちと連絡先交換しちゃったのかも。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!