第76話

許し
4,841
2023/01/26 10:38
先生が俺の体を見て1ヶ月以上は俺は病院に世話になると言った。
声はしばらく意識がなかったことからのものだと1週間もすれば喋れるようになるらしい。
全身のやけどやら打撲は治りはするが、かなり跡が残るほど。まぁもろ食らってるし爆弾だしな。
看護師は連絡をしたと言って、その日に来たのは萩と班長。
萩にはマジギレされ、班長には心配したと言われた。
それよりも俺はあなたについて聞きたかった。
あいつはこの俺の事を知ってるのかって。
だけど聞ける声が俺には今は無い。聞けるのも時間がかかりそうだ。
スマホもボロボロで電源すらつかなかった。あげる予定の指輪も箱ごとボロボロで中身の指輪は買った時よりも輝きが減った気がした。
松田「……………………………………」
俺の持っていたもんはみんな焼けてボロボロ。俺の体もだ。
あいつになんて言えばいいんだよ。
悪い。死にかけた。で済むか?


























































































































俺が入院して1週間経った。
声が治ると思っていたが、治りが遅く話そうとすれば咳き込んだりガラガラした声しか出なかった。
だけど萩原は俺の見舞いに毎日来てくれた。
そこで初めてあなたの話を俺は聞いた。
松田「あなたは……この"事知って"んの"か?」
俺のいつもの声がガラガラと酷い声だ。
俺が聞けば、萩原はあぁ……と言っていつもの笑ってる顔に眉が下がって困ったように話した。





















































萩原「あなたちゃんは松田のこの事知ってるよ」



































































萩原「だけど……」


















































































萩原「松田とは会えないって。あなたちゃん今の松田見たらもう許せなくなるんだって」









































































































萩原「松田の仕事がどんなことか分かってたんだよあの子。けど今回は程度が違うだろ?さすがにもう仕事だからって笑って手当なんてできないんだって」
萩原「ここだってあなたちゃんが働いてる病院なのに一切あなたちゃんが来ないでしょ?」
萩原「松田。1200万人をお前は爆弾から守ったんだ。すげぇ事だよ……けどあなたちゃんにとっては……分かるよな?」
俺は萩の言葉に頷いた。
たくさんの人を守っても俺はあいつからしちゃただの命知らずだ。
仕事でどんな怪我してもまた怪我して!なんて言って手当してくれるあいつは心が広い。
俺はあいつが怪我とかしたら笑って手当なんてできねぇから。
萩原「松田。できるならすぐにあなたちゃんと話をした方がいい」
萩原「あなたちゃん……松田がこんなんなったって言ってどうだったと思う?」
萩原「泣いたり怒ったりもせずにな。大丈夫って言って笑ってたんだ」
萩原「松田……お前が悩む時間なんてねぇんだ。強がりにしか見えなかったんだ……もう……2週間以上もあなたちゃんはしんどい状態なんだぜ」
んなもん……分かってんだよ……
俺があいつのとこに行かねぇとなのは。
俺が1番分かってんだよ。

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