【モトキsaid】
結局ほとんど眠れなくてベッドに潜っているだけの状態で一晩が過ぎた
一晩過ぎたら結構頭も冷えるもので
昨日あんなに思っていたことが馬鹿みたいに思えてきて
ちゃんと向き合おうって思い直した
玄関から静かに鍵が開く音がした
ベッドの横にそっと座ったあなたの下の名前さんが
小さく声をかけてきた
泣きそうになって言うあなたの下の名前さん
そう言ってみたけどあなたの下の名前さんの顔は晴れない
不安そうな顔で俺の顔を覗き込む
ずっと聞きたかったことを聞いた
聞いてはみたけど返事を聞くのが怖い
俯いて答えを待っていると
これ以上何も言えない
俺はあなたの下の名前さんになんて言われたって受け入れるしかない
こんな情けない彼氏
嫌だよな
あなたの下の名前さんがいたずらっぽく笑った
あなたの下の名前さんが諭すように言う
そう言ってあなたの下の名前さんが俺の胸に飛び込んでくる
慌てて抱きとめると
嗚咽混じりの声が聞こえた
心の底から出た言葉だった
心の底からあなたの下の名前さんに感謝していた
こんな最低な俺を
愛してくれてありがとう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。