前の話
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11月11日。ポッキーの日。まぁいわゆる大手お菓子メーカーがお菓子を売ろうと考えた日だ。、、、怒られそう。まぁそんなことはさておき、菅原先輩が部室にポッキーの箱を持ってきてた時点でもっと怪しむべきだった。いきなりじゃないべ?だってポッキーの日だしとでも言いたげな顔を向けてくる菅原先輩はこっちを見たまんま手に取ったポッキーの箱を開けている。
あ、言った。そしてポッキーの箱から袋を取り出し、開ける。手に目でもついてるのかこの人、器用かよ。えー、ほんとにすんの、って、あれ、待って、今日は潔子先輩は休み。大地先輩は部長の仕事とやらで遅れ。他のみんなはロードワーク。やっちゃんはロードワークから皆が帰って来た時に使うタオルとドリンクの準備中。今部室には昨日部誌を書くのを忘れて部誌を書いてた私と、委員会の仕事で遅れてきた菅原先輩のみ。誰も助けてくれる人は居ない。え、相手私?どうか自意識であって欲しい。でも他に人いないし、、、。菅原先輩、ポッキーゲーム一人でやってくれないかな。
ほんとになんですかそのノリ。てかやっぱり私だよね。私以外居ないもんね。一人でポッキーゲームなんて出来ないもんね。、、、あれ、え、ポッキー普通に食べれば良くね?、、、まぁそうゆうことじゃないんだろうな。、、、唐突だけど私と菅原先輩はお付き合いをしてる。でもキスをしたことはまだ無いのだ。なぜならそうゆうことが未経験な私に菅原先輩が合わせてくれてるから。え、キス、すんのかな?無理無理恥ずかしすぎて無理。なんて思ってるうちに菅原先輩は口にポッキーをくわえ、立ち上がってこっちに、、、え、来ないで来ないで心の準備がぁぁぁぁ!
ガタ
やばい、後ずさってたらロッカーに背中がついた。もう後ずされない。やばいやばいこっち来てる!!
ダンっ
人生初壁ドン。待って待って無理無理無理無理近い近い近い軽くパニックなんですけど!!ちょ、顔近ずけないで、、、!ちょん、と私の口に菅原先輩がくわえているポッキーの反対側があたる。待って待ってほんとにするの!?死んじゃうってあー口の中にポッキー押し込まれて、、、や、待って待ってポッキー食べないで!?近くなってくるから!!(そうゆうゲーム)わー待ってほんとに待って!耐えられなくて目をギュッと瞑る。菅原先輩がポッキーを食べる振動が口に伝わる。待ってほんとに近_____
ポキ
え?目を開ける。と、ポッキーがあと3分の1、って所で折れてた。え、、、なんで?普通折れなくない?
そしてニヤ、と笑う菅原先輩。あ、これ絶対菅原先輩折ったな。折れたんじゃなくて折ったんだ。気が抜けてずるずると床に座り込む。あー、なんだ。ちょっとだけ期待しちゃったじゃんか、、、。
あ、やば、必死すぎて逆に怪しい絶対バレた。
ずい、と菅原先輩が顔を近ずける。あー私のバカ!顔に熱が集まるのが分かる。絶対顔赤いこれ。
あーもう、バレたじゃん!?私のバカ!!、、、でも、あんなことされたら期待するに決まってるじゃないですか、、、。ちら、と菅原先輩の顔を覗くと、え、赤い?なんで?
どうしたんだろう。先輩の様子がおかしい。キョトン、としていると菅原先輩が口を開いた。
嫌な予感がする
嫌な予感、的中。や、や、やらかしたぁぁぁー!
待ってまた嫌な予感が
え、何を?と言おうとした口は、菅原先輩に塞がれた。されてる間は何が起きてるかわからなくて、ただ菅原先輩の顔が近ずいて、口になにか当たって、そして菅原先輩の顔が離れていった。そして気づいた。キスされた。菅原先輩に。ぶわぁ、と今までと比べ物にならないくらい顔が熱くなる。まじかまじか、え、き、キスしちゃった。待っ、え、キス、え?とパニックな私を置いて、菅原先輩は時計をちら、と見て、まだロードワークが終わるには時間がかかることを確認して、一人口を開き
と言った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。