私のクラスの地位は、半分くらい。
高くもないし、低くもない。
友達もそれなりにいる。
でも、退屈だ。
友達と駅までの道を歩く。
友達と別れると、私は1人ため息をついた。
声がした方を見ると、小さな女の子が立っていた。
緑の長い髪をおろした髪型に、クリクリとした目。
可愛い子だ。
そう言って少女が見せたのは、何の変哲も無いサイコロ。
私が言い終わるより前に、少女はサイコロを空に向かって投げた。
しばらくして、地面にサイコロが落ちる。
出た数字は。
少女は興味なさそうに呟くと、私に手を振った。
去ろうとした少女に、私はそう叫んだ。
少女はゆっくり振り返ると、笑った。
その少女の笑みは、ぞっとする笑顔だった。
その時、周りの景色が歪み出した。
私は何かに吸い込まれる感覚に襲われた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!