藤井side
やってしまった。
真夜中隣で可愛い寝顔で寝ているあなたを
起こさないように静かに起きて
リビングに行く。
…はい、藤井流星。
完全にやらかしました。
喉の痛みで起こされました。
手探りでリビングの電気を付けて
半分起きれてない頭で体温計を探す。
体温計を見つけて電源入れて脇に挟みながら
薬の準備。
ピピッと音が鳴って脇から体温計を出せば
思った以上に熱が高かった。
運悪く明日は土曜日。
勿論幼稚園もお休み。
…オフの人に来てもらうしかない。
携帯で明日オフの人をメールで聞けば
しげと照史がオフで2人に事情を話せば
明日の朝すぐにあなたを迎えに来てくれると
言ってくれた。
寝室からあなたが俺を呼ぶ声が聞こえて
直ぐにリビングの電気を消して
慌てて向かえばベットから起き上がっていた。
あなたを抱っこしてあなた専用の隣の小さいベット
に降ろして布団をかけてあげた。
上から優しく一定のリズムでお腹を叩いて上げれば
すぐにまた夢の中に。
俺もあなたの寝たのを確認して
毛布を重ねて布団をかぶりまた目を閉じた。
夜中起きた時からどれくらいたったか分からん。
でも酷い寒さと俺のベットに入り込んでいた
あなたが抱きついてきた感覚で目が覚めた。
カーテンからは日差しが差し込んでいたから
起きてもいい時間やろうと思って
あなたのご飯とか色々しなきゃ行けないから
俺が使ってた布団をあなたにかけてあげて
そのまま静かにリビングに戻った。
そうや。
照史としげに頼んだんだった。
…ってことはもうあなたも起こさなあかんな。
色々しなきゃ行けないことを思い出して
またベットに戻った。
寝返りを打って寝てしまったあなた。
…しゃあない。今日は土曜日やもんな。
寝てしまいたい気持ちも分からなくもない。
…でも心を鬼にしてもう一度あなたを起こした。
なんて言えば直ぐにのそのそ起きてくれた。
のそのそ起きればあなたはベットにちょこんと
正座した。
ギュッて抱きついてきたあなたを
俺も優しく受け止めた。
土曜日くらいゆっくりしたかったに違いない。
どこかに行きたかったに違いない。
俺と遊びたかったのに違いないのに
……ほんま俺は何してるんやろ。
最近は一緒に寝ている犬の形のリュックを背負って
また俺に抱きついてきたあなた。
背中に背負っていた犬の形のリュックを降ろして
俺に見せてくれたあなた。
……あ、らんらんって名前なのね。笑
らんらんを抱っこしながら台所に向かったあなた。
俺も寝室から出てすぐ隣のタンスから服を出す。
一応もしかしたら泊まりのことも考えて
多めに出して
あなたでも持てる可愛らしい袋に詰めた。
台所の方で声がしたからソファで作業をしてた
手を止めて台所の方を振り返った。
あなたが持ってきたのは箱に入った
チョコレートとクッキー。
ほんまやったらこんな簡単なことも
もう1人で出来るあなた。
でもきっと今のは…今日のはあなたの甘えやろ。
少しでも俺のそばにいたいっていう。笑
自惚れかも知らんけど
父娘やから分かるんよ。笑
入れてあげたのと同時に
ソファ前の小さなテーブルに置かれた携帯が
鳴って手に取って電源を入れれば
照史からメールが来てた。
アプリを開けば8時にしげと一緒に来てくれるとの
こと。
未だにらんらんを抱っこしながらウロウロするから
とりあえずソファにランランを置くよう促せば
直ぐに言うことを聞いてそのまま俺と一緒に
お着替えタイム。
今日は望が買ってきてくれたあなたのお気に入りの
服。
それに似合うズボンを履かせれば
またらんらんを抱っこして今すぐにも
走り回ろうとするあなた。
もうそんなことはさせません笑
直ぐに抱っこして洗面所へ。
顔を洗うのが苦手だったあなたも
照史が作ってくれた紙芝居のおかげで
顔を洗うのが好きになってくれたあなた。
ホンマよかったわ。
助かった、ありがとう照史笑
顔洗うのも終わってそのままもう抱っこしたまま
リビングに戻る。
椅子に座らせてテレビをつける。
時間帯とかの関係なのかあなたが好きそうな
番組もなく録画してた子供番組を見せてあげている
時に朝ごはんの準備をした。
作りながらも朝よりも…いや夜中よりも
悪化している自分の体。
持つように祈りながら作ったご飯も味が心配。
…とりあえず作り終えた。
って言っても特にあなたは何もすることないから
俺が全部やる。
ご飯の入ったお皿をもって机に置いて
置き終わったらまた台所に行って
今度はあなたの飲み物と箸を持って机に置いて
座った。
いつもよりも静かに食べ始めた俺ら。
気を使ってんのかな。
食べ始めたのはええけど思ったより食欲がない。
心配そうに見つめるあなたの頭を
優しく撫でれば笑ってくれた。
俺は残したけれどあなたは全部食べてくれた。
ごちそうさまもして
俺がお皿を下げている間にあなたは歯磨きへ。
お皿を洗っている時に助っ人達が来てくれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。