その時、無意識に広げていた風に感じたことのない空気が触れた気がした
ピクシーボブも何かの異変に気がついたのか、微妙に霞む空気を嗅いだ
月下の下で青白く光る森の木々。
その時、ピクシーボブの身体が微かに光り、どこかへ引っ張られた
自然のその方向に視線を移すと、"それ"がいたんだ
マンダレイからの指示を受け、移動しようとした時、出久くんがマンダレイに言った
「僕、知ってます」と。
初めはその言葉の意味が分からなかった。だけど、出久くんの意志とマンダレイの目で、何となく察した。
すると、出久くんはすぐにどこかへ行ってしまった
天哉くんの後に続いて引き返そうとしていると、マンダレイに引き止められた
私はここで、改めて"プロ"という存在を尊敬した。
確かに、出久くんはいつも無茶をしてボロボロで帰って来る。
それを一瞬で見極めちゃうんだ..それに、そんな出久くんを追うのに1番適した人物だってすぐに判断する。
本当にすごい...
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応戦に行くとは言ったものの、完全に出久くんを見失った..いや、完全に、という訳じゃない。
風で場所自体は感知してる、だから、必ず追いつく
森を走り抜ける中、視界の端っこで微かに人影が写った。
その人影はコホンと小さく咳払いをした
気になった私は追跡を一旦止め、立ち止まった
確か、合宿の少し前の夜、私があの事を知るきっかけを作った人...
櫻華とは恐らく敵ネームだと思う..
櫻華は黒色のオーバーオールを身につけており、見た目的にも感じ的にも歳は変わらないような気がした。
その割には喋り方がどこかぎこちなかった
以前あった時は夜で体格も顔も分からなかったけれど、改めて見ると15歳と言われて納得できる容姿だった
こんな歳で敵なんて...考えたくもなかった
そこで私が今まで悩んでいたことがいくつか繋がった。
つまり、私は個性移植計画の関係者で、何らかの理由でその計画から離脱した...
だから、研究者側が私を追っているということになる
本能的にそう思った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。