私は人混みを掻き分けた
すると...
赤い何かが地面に流れていた
まさかと思って近づく
そこには、人が血を流して倒れていた
私は倒れた方のそばに寄った
腹部を刃物か何かで切りつけたような傷だった
出血量が多く、とても苦しそうだ
私はビリビリと、着用していた服の1部を破くと、怪我をした部分に強く当てた
と、近所の方が紐を貸してくださった
私は紐を受け取ると、布と共に腹部に巻き付けた
強く締め付けると、酷く痛がったが、そうしなければ出血死してしまう
なんとか止血を終えると、私はその場を去ろうとした
すると..
私は咄嗟にその場から逃げ出してしまった
すごく悔しかった
あのように言われて何も言い返すことができない自分に嫌気がさす
私はそのまま自宅へ戻った
その後すぐ、救急車の音がした
しだいに人も少なくなり、いつも通りに戻った
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
後日
私はもう、行きたい事務所は決まっていた
そして..そこからも指名が来ていた
そう、私はアイツがいそうな場所に目星を付けていた
だから、その近くの事務所にしようと思った
しかし、1つ心配事があった
近くということは行きやすくていいのだが、逆を言えば危険が及ぶ可能性があるということだ
また、私は街の評判が悪いため、事務所に迷惑を掛けてしまうかもしれないということ
そして数日が経ち、職場体験の日が来た
私は片手にコスチュームが入ったケースを持ち、肩から荷物をさげて、事務所に入った
私が来た事務所は...
『ユキト事務所』
ここは...元々お父さんの事務所でした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
next☆
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!