さて皆さん、突然ですが、私は今どこにいるでしょうか!
って、私、勿体ぶることはできないので、言っちゃいます!
はい、私の育った、我が家です
本日は休日、ということで、私は久しぶりに我が家へと帰って来たのです
私は目の前の光景に、一度目を疑った
しかし、疑いの感情なんかよりも、嬉しさの感情が勝り、私は大好きな二人の元へと駆け寄った
じわじわと熱くなる瞳からは、ぼろぼろと涙が零れ、頬を伝った
久しぶりの感覚に、私は嬉しさを抑えきれなかった
だから、つい、甘えたくなった
お母さんとお父さんが居なくなってしまって、悲しいこと,辛いこと..たくさんの嫌なことがあった。でも、それらは全部、別の楽しいことや嬉しいことで紛らわしていた
でもそんなことは全部、偽りに過ぎなくて、
こうしていつかは、全部を思い知る。
私は分かってる。2人の愛は、偽りの愛なんかじゃないって
私は2人に包まれ、とても幸せだった
もっと、一緒にいたかったよ
まだ、このままがいいよ
ふと、そう思った。幸せな時間はずっとも続かないことは知っていたけれど、私は信じてみたかった
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空龍あなたが個性事故に遭い、意識を失ってから、1週間が過ぎていた
下校中、ヒーローと敵との戦闘に巻き込まれた空龍は、敵の個性に当たり、眠りに堕ちた。
敵は既に捕まったものの、個性が解ける兆しは一向に現れず、相澤先生の個性でも、打ち消すことが出来なかった
蛙吹がふと視線を後ろに移し、口を開いた
目の下に付いた隈が、それを何よりも物語っていた
また、最近の爆豪の調子を見ても、それらは一目瞭然だった。
出せない本領に、冴えない表情
普段からライバル視している相手に言われた率直な言葉。
それを受け止める余裕すら、今の爆豪にはなかった
轟の胸ぐらから手を離し、爆豪はその場を去った。
いつもならすぐに個性を使っていたであろう爆豪が、何もせずに去った
恐らく、まともに戦う気力すら、なかったのだろう
その後、去った爆豪が向かったのは、空龍のいる病室だった
【爆豪 side】
静かに寝息を立てるあなたの横で、俺はただ、こいつを見てた。
ずっと寝てやがるから、ろくに太陽にも当たってねぇし、食事も摂れてねぇこいつの身体は、前よりもやせ細って、血色も悪かった
あいつが眠って1週間。
まだ、1週間。
それでも、こんな風に眠ってるあなたを見てると、もう死んでんじゃねぇか、とか、変なことを思っちまう
そんな自分に嫌気がさして、ろくに集中できなかった
こいつを起こす方法を調べてたらいつの間にか夜が明けてやがって、こいつの様子を見に来たら、無性に腹が立つ。
殴っちまえば起きるんじゃねぇか、そんなことも考えた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!