第51話

【第50話】
1,789
2020/08/01 14:36
あなた

(私はまだ資格を持ってない..だから、戦うことは出来ない)

あなた

(けど、今個生を使わなきゃこの子から逃げられなくて..ッ)

あなた

(そうだ、出久くんの所にも行かなきゃ..)

色んな思いが複雑に重なり合って、思考を上手く持つことが出来なかった
その時、手首の辺りにスッと何かが巻かれた
あなた

ロープ?

櫻華
そ、ロープ
あなた

ッ!これ、君の...

櫻華
うん、そうだよ
君を捕えるのにピッタリな個性でしょ?
桜華くんがニッと笑うと、手首に巻かれたロープの締まりが強くなった
櫻華
何度も言うけど、絶対に連れて帰るから
あなた

なら、私も何度だって言う!
ぜーったいに行かない!

櫻華
連れて帰るったら連れて帰る!
あなた

行かないったら行かない!

櫻華
連れて帰る!
あなた

行かない!

両者顔を出し合ってそう訴える
すると、周りに広げていた風に細くて長いものが引っかかった。

私はその瞬間、それがロープだと思い、真上に飛んだ
櫻華
ッ!わお
櫻華
これ避けれたの、君が初めて^^
櫻華
でも..良くここまで使えるよね、個性
あなた

たくさん訓練したんだもの

櫻華
たくさん、か..それはまぁ大変だったよね
あなた

え、えぇ..

桜華くんが何を言いたいのかは全く分からなかったけれど、確かに大変ではあった。

でも、みんなだって大変な思いをしてここまで来てる。私だけじゃない
あなた

えっと、桜華くん

あなた

私も君もまだ子供で、私はヒーローの資格を取ってなくて..その、つまりね...

あなた

私は、あなたと戦いたくない

櫻華
俺だって戦いたくない
でも、命令には従わなきゃいけないから
そう言って、桜華くんは後ろを向いた。

後ろを向いたと思いきや、上服をそっと持ち上げ、背中を見せた
あなた

ッ!それ..誰に..ッ

櫻華
ま、それは向こうに帰ったら分かるよ
桜華くんの背中には、その痛々しさを表すようにくっきりと傷があった

それも、1つや2つじゃなくて、たくさんの傷


痛かったよね...
そして、ここでもう1つ分かった。

桜華くんも、やりたくてこんなことをやってるんじゃないって

だって、あんなにも傷が付いてる
恐怖で縛り付けられてるに違いない


なら、私が救わなきゃ。
これでも、ヒーローの卵だもの
あなた

桜華くん、もう、従わなくていいんだよ

あなた

桜華くんは桜華くんで、誰にも縛られない純粋な個体

あなた

それを縛られてしまったら、とても苦しいもの

櫻華
で、でも..ッ
櫻華
あいつに逆らえば..ッ
桜華くんの顔は酷く怯えていた
あなた

1つ、方法があるの

櫻華
ッ!
私は躊躇なく桜華くんに近づき、手を取った
あなた

その組織を抜けよう

あなた

そしたら、私が守るから

桜華くんはその場で静かに涙を流した

きっと、15歳小さな心にはとても大きくて、怖くて、耐えきれないものだったんだと思う

それでも恐怖に耐えてきたんだ


"守ってもらう"なんて、
夢のまた夢の話だったんだよね
櫻華
でも、俺..今更更生なんて、
あなた

できない..って?

櫻華
(コク
あなた

大丈夫(ˊᗜˋ)

あなた

君は強いし、優しいもの

あなた

その強い心を持っている桜華くんはすごいんだよ!だからね

あなた

絶対に大丈夫なの(ˊᗜˋ)

櫻華
はは、何それ 笑
桜華くんは笑いました

初めて合った時に浮かべていた不自然な笑みではなく、自然な笑顔を浮かべていました
櫻華
うん..俺、辞める
櫻華
それで、自首もする
櫻華
だから..守ってもらわなくていいよ
櫻華
だって、俺は強い心があるから、自分で守れる
あなた

そっか...うん、そうだね!
頑張ってね

あなた

じゃあ...私は出久くんの所に行かないとだから、じゃあね(ˊᗜˋ)

櫻華
うん、ばいばい
桜華くんと別れ、出久くんの元に行こうとした時、新たに気配を感知した


それはいきなり現れた
あなた

ッ!桜華くん!

振り返った時には、桜華くんの目の前にはそれがいて..
櫻華
ごめ、んなさい...ッ
桜華くんの目から雫が垂れ、地面に落ちた
???
時間が掛かりすぎだ
???
あと..組織を抜けるとも聞こえたが....
???
これは聞き間違いか何かか?
???
なぁ、桜華(ニコッ



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