叫び声、悲鳴、鳴き声。
そんなものはもう聞き飽きた。
魔法によって焼き尽くされている町は瓦礫の山と化している
どうしてそんなに上に立ちたがるんだろう
少女には理解できなかった
わずかな食糧だって分け合うことができる程度には残っているのに
それでも人は争いをやめない。
だから僕は自分の身を守るため、不遇な人なら救えるかなという思いで杖を振る
血走った目で剣に風をまとわせて振るう男
その人のそばにはへたりと座り込んだ女性
とっさに守護をかけそのまま無力化する
少し考えた後、私はこういった
と言いながら去っていく女性に手を振りながら思う
魔術師様なんて呼ばれる資格なんてないのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!