第4話

『 先生?キスして///…? 』④
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2019/06/18 22:16
『先キス』

☆31☆



な「…神ちゃん?」
神「ん?…なんや うつむいて?…なんか、あったんか?」



休み時間。
思いきって、聞いてみた。


遠回しにとか、苦手だから…
ストレートに。




な「あのね?…私の事…避けてる?」
神「はぁ??なワケ…」



神ちゃんが話し出すと…



と「神ちゃんが、なゆを避けるワケないでしょ?……なゆ?分からないの?」
神「あっ!ちょっ!ちょっ!とも///??」
と「ほらっ?分かりやすい!」
な「…えっと………」








神「や、なゆ?ええねん!そんなん、考えんでもぉ〜!!!」







な「う〜ん??…ごめん、とも……なんにも分からないよ??」








と「ぷっ!ww この鈍感さに、救われるとは…ね?神ちゃん?」







神「ぅへぇ?……んまぁ、とにかく!次 行くぞ!!!」
と「は〜〜い!w」
な「ねぇ〜ズルイよぉ!何の話しぃ??」




☆32☆



神ちゃんは「言えへんねんっ!!!」って、先に行ってしまった。

その後を「なゆ、置いてくぞぉ〜」と、ともが続いた。




な「え!待ってよぉ〜〜!まだ準備出来てない〜〜!」





この瞬間…


楽しかった…


このふたりが、側にいないと…


学校が、つまんないんだ。





この時は まだ、私達の関係は崩れてはいなかった。



けど…





昼休み。


な「3人って…イイねww」


私達は、屋上でお弁当を囲んでいた。


と「そんなの、ずっと前から分かってた。」
神「…そ、そやな……」



ん?神ちゃんまた変?


何、隠してるんだろう…


もしかして…私…ジャマ??




と「それよりさぁ!また出掛けない?3人で!!!」
神「おっ!ええやんっ!ドコ行く?」



そんな話しをしていたら、思いついた。




☆33☆


お礼って…こんな事でもイイのかなぁ……?





な「私……中間先生とデートしたいな…//」





と「えっ?…チョットなゆ?何言ってんの?今は3人でって…」



な「あ、あのね//?…昨日の作業 頑張ったから、中間先生が何かお礼してくれるって//…考えといてって//」



と「…お礼って…」



な「ねぇ?神ちゃん?男の人って、どんな所に行きたいのかなぁ?やっぱり初デートは……夢の国?」




神「っ!!!……ゆ、夢の…」




と「もぉ辞めてぇッ!!!」




ッ!!!ビクッ!!!


と、ともが……大声をあげた…


それだけで私はショックだった。


いつも冷静なのに…





と「もう……神ちゃんに、そんな話しするの辞めてよ?……なゆ…鈍感すぎるよ……」




ともは、今にも泣き出しそうに…

涙を浮かべて…






その場を離れて行ってしまった。





☆34☆


神「なゆが…悪いんやないから…大丈夫や。」



言葉では そう言うけど…


うつむいた その横顔は……辛そうだった。



な「……わ、私……どうすれば…」

神「せやな……」





神「…なゆは…笑っとったら ええよ!…俺は、笑うてるなゆが、一番ええからなっ!」



いつものドヤ顔も、私を気遣ってる分だけ、どこか弱々しい。



な「…神ちゃん……ッ…」



優しい神ちゃんの言葉に、私は泣いてしまった。



神「んもぉ〜泣くなや〜w ホンマなゆは、ともが好きなんやな?」
な「うん…うん…ッ………そうみたいッ…」
神「ふふっw ええなぁ?そんな友情。」
な「……神ちゃんだって…好きだよ?」
神「…//……そっか。……ありがとな…」



神ちゃん…

今の…ありがとうの笑顔じゃないよ…




どこか淋しそうで…セツナい。





私達…どうなっちゃうんだろう……?



☆35☆


次の朝。



な「…え……とも……どうしたの?」
と「な、何でもないよ!」



顔を覗き込む私から、顔を隠そうとする とも。



な「まさか!イジメ?」
と「なワケあるかいっ!!!」
な「じゃ、なんで目が腫れてるの?殴られたんじゃないの?」
と「・・・っぷっあはははは〜!!!」



ともが、いきなり笑い出すから、私は何がなんやら分からず、ポカ〜ン…としてしまった。



と「なゆ〜ww ナイス天然ww」
な「ふぇっ?…て、てんねん?」
と「もぉ〜〜ごめん!めっちゃ反省した!」
な「…反省?」
と「うん。なゆが離れてくかと思ったら…涙ばっか出てきたの。…だから腫れてるの!」



上履きに履き替えながら、私達はあっと言う間に元に戻った。






な「とも…ごめんね?」
と「何が?」
な「…私のせいで…辛そうだから…」
と「…でも〜」


☆36☆


と「どうして辛そうなのかは、分かってないんでしょ?」
な「……うん…ごめん…」
と「大丈夫!…私もよく分かんないからww」
な「へっ?」
と「分かんない。どうしてあんなに、声を荒げたのか。どうして私が辛いのか。」
な「…そうなの?」
と「うん。…確信が……持てない。」
な「…確信?…そうなんだ…」



よく分からないけど…

ともも悩んでるのか…



と「帰り、31行こっ!」
な「うん!イイよ!」
と「なゆの奢り〜w」
な「エッ!やだぁ〜!」
と「じゃぁ、行かなぁ〜い!」
な「やぁ〜〜だぁ〜〜!」


笑い合うとまた、楽しかった。





はっ!!!


そんな私達と すれ違った……中間先生。


私は無意識に目で追っていた。



っ!!!えっ!!!



振り返った先生は…


「良かったな」と、口パクした。


その嬉しそうな笑顔に…


私は「うん!」と、笑顔で返した。



☆37☆



と「…あ〜…デート…ってか、お礼……どうすんの?」



なんだか心配そうに聞かれた。



な「う〜ん…まだ考えてない。」
と「そっか…」
な「…あのね?……先生…悩み事が あるみたいなんだよね?」
と「…相談されたの?」
な「…そうじゃないけど…なんか落ち込んでるっていうか…言葉の端々に、そんな感情が出てるっていうか……」
と「…分かるんだ?」
な「うん。分かる。…先生の声色が……変わるの。」
と「そっか…」



ともは そう呟くと、ベンチから去り、屋上の高い金網にそっと手を掛けた。



物憂げな その表情は…


あの時の先生の様だった。





と「私さ//……好きな人が…いるみたい//」




私の頬を撫でた柔らかい風が、ともの頬を撫でていく…


まるで…
恋に心を奪われた ふたりを…


包み込んでいる様だった。











あ!
そうだったんだ!!!





☆38☆



あの時…屋上で…
中間先生を見かけた時…

息を呑んだと同時に、胸が跳ね上がった。



私の大好きな、先生の声。

最初に聞いた時は…
それだけで嬉しかった♡

その声で、名前を呼ばれた時も!

相談に乗ってくれると、約束した時も!

本当に、それだけで嬉しかった。



でも今は?



デートしたい……とか…



そりゃあ私だって、ムリな事って分かってるよ?



でもでもでもでもぉーーーーーッ!!!




















____________好きって…欲張りなんだ。
















もしも…





デート出来たら…





その次、私は…





何を求めちゃうの??





☆39☆




なんだか、闘志が失せた。




先生に会いたい。



でも、会ってしまったら…



これ以上…



好きにならない方がイイのかもな…







担任「なゆ?今日、体育祭実行委員あるからな〜」




あ…そうだった…


嫌でも会っちゃうな…




と「なゆ!中間先生と会えるね?」
な「う、うん…そだね……」
と「…どした?嬉しそうじゃないじゃん?」
な「…会いたいんだけどね…会ったらまた、もっと好きになっちゃうから…」
と「…相手が…先生だから?」
な「まぁ…それもあるかな…w」



なぜか私は、明るくしようと笑顔を作った。



先生の悩みは…



きっと恋の悩み。









そんなの…聞きたくもないし…








はぁぁぁぁ〜〜〜〜っ……








恋って…苦しいな。





☆40☆


放課後。
各クラスの実行委員が集まった。


こないだ作った花達を飾り付けるのが、私の担当。


体育祭が終わったら…


すぐにでも剥がされてしまう入場門の飾り。


初めて中間先生と、ふたりきりで作業した、愛おしいはずの花達なのに…


妙に儚く感じて、私はヤル気が出なく、浮かない顔をしていた。




私を含めて3人の生徒と中間先生で、二本の門の塔を飾り付ける。




中「七色にしたいねん…虹が架かってるみたいに…どうかな?」



美術の先生でも無いのに、そんなこだわりをみせる先生。



生徒「いいじゃん!先生、センスいい〜〜w」



ねぇ!どうして、女子ばっかなのよ!!!

しかも先生に、馴れ馴れしいしッ!!!



気付くと私は、心で怒りを ぶつけまくっていた!





中「なゆと俺で…こっちやろっか?」






な「へっ?…ふたりで…こっち……?」





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