あの時、カラ松に懐中電灯を預けられ
弟二人を見ているよう、頼まれた。
……出口を探しに行くらしい。
懐中電灯を持っていけ、って言ったけれど、
弟に怖い思いをさせたくない、だとさ。
こんな暗いところで出口を探すなんて、
正直無理だと思ったけどね。
しかも、迷う可能性も高いと思う。
弟想いにも程があるよ。まったく。
しばらくして、一松がこういった。
僕が反対しようとすると、歩いて行ってしまった。
ミシ…………ミシ…………ミシ…………
必死でトド松の目を見たが
ああ、
もう
終わりだ。
トド松は十四松の手を引いて
次第に遠ざかっていく。
僕のことは、助けてはくれないんだ。
僕なんか
どうでもいいんだ。
全てを諦めきって、静かに目を閉じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。