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2019/04/02

第12話

【放課後、密室、先輩とひみつ】10
少しウトウトしかけてきた頃、カチャッと軽い音がして目を覚ました。
何の音?
ボーッとする思考でまぶたをこする。
片方の肩にのしかかる重さに気づいてゆっくり隣を見ると、目を閉じた浅野先輩の顔が私の肩に乗っていた。
西川梨子
西川梨子
ーっ!?
浅野大翔
浅野大翔
いてっ
驚きで声も出せず、思いっきり立ち上がると、バランスを崩した先輩はテーブルの上にゴンッと落ちた。
そうだ。私たち、部室に閉じ込められて……。
浅野大翔
浅野大翔
ちょ、もー、何、梨子ちゃん
寝起きの浅野先輩は、打ち付けた頭を押さえながら不満を口にする。
西川梨子
西川梨子
ご、ごめんなさい、びっくりして……。あの、それより……
物音がした方を見る。
いくら頑張っても開かなかった部室の扉の外が、ゆっくりと現れて……。
ひとりでに開い……た?
浅野大翔
浅野大翔
梨子ちゃん
西川梨子
西川梨子
あ、……え?
浅野先輩も立ち上がり、扉側に近かった私の腕を引き、自分の背中に隠した。
扉は自動ドアだったわけではなくて、そこからひょこっと顔を出したのは、警備員の制服を着た男性だった。
……夜間警備員さん?
夜間警備員
うわっ、まだ人が!?
驚いたのは私たちよりも、警備員さんの方。
夜間警備員
見回り中、かばんが外に置いてあったので、まさかと思って……
と、警備員さんは申し訳なさそうに頭を下げる。
私たちは、はぁーと同時に深く息を吐いた。
浅野大翔
浅野大翔
なんだ、変質者とかかと思った
ホッと息を吐きながら、浅野先輩は私の盾になるように広げていた腕をだらんと脱力させた。
今のってもしかして、咄嗟に守ってくれたのかな、私のこと……。
そんなことを自覚しだしたら、動悸が激しくなってきて。
なんだろう、この……胸のドキドキは。
扉が開いた時よりも、ずっと速く高鳴っている。




浅野大翔
浅野大翔
本当に大丈夫? 俺、一緒に行って家族に謝ろうか?
西川梨子
西川梨子
はい、大丈夫です。男子とこんな時間まで一緒だって知られた方が、怒られそうな気がするので……
時刻は、日付が変わるギリギリ手前。
浅野先輩は、この時間にひとりじゃ危ないからと、私の家の前まで送ってくれた。
部室の外に置き忘れたかばんの中のスマホには、予想通り自宅からの着信が鬼のように残っていて、私が考えた言い訳は、「部活帰りに先輩とファミレスで喋っていたら、いつの間にか眠っていてこんな時間になった」という、少々苦しいもの。
一緒にいた先輩の性別は、あえて言っていない。
やましいことをしたわけではないけど、部室に夜遅くまで男の先輩と一緒でした。……とは、さすがに言いづらくて。
知宏や友理奈からも、心配する連絡が入っていた。
返信はしたけど、明日改めて謝ろう。
浅野大翔
浅野大翔
じゃあ、俺はここで。気をつけてね
西川梨子
西川梨子
ありがとうございました……。あの、先輩、このことは……
私の不安がっている表情で察したのか、先輩は目を丸くして瞬いたあと、フッと笑った。
浅野大翔
浅野大翔
分かった、ふたりだけの秘密な。梨子ちゃんも、誰にも言っちゃだめだよ
去り際にポンと頭を撫でられて、私は少しだけその場に立ち尽くした。
西川梨子
西川梨子
せ、先輩!
後ろを振り向いた頃には、先輩の背中は小さくなっていて、私の声は届かなかったのか、立ち止まることなく歩き続けている。
西川梨子
西川梨子
先輩も、気をつけてくださいね! さようなら!
先ほどよりも大きな声で呼びかけると、こちらを向かずにひらひらと振る手のひらだけが返ってきた。

もうそばにいないのに、まだ胸がドキドキしてる……。