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2019/03/11

第4話

【放課後、密室、先輩とひみつ】2
女子生徒
浅野くーん!
女子生徒
きゃー!
目が合いそうになったその時。ホイッスルの音と共に、歓声が耳を貫いた。
ゴールを決めた男子は、声援に応えるようにニコニコとギャラリーに手を振る。
なんか……イメージと違う。チャラい……。
さっきのは見間違いだったのかと思うほどに。
渡瀬澪
渡瀬澪
こら、浅野くん集合だよ!
浅野大翔
浅野大翔
はいはい
浅野くんと呼ばれたその人は、マネージャーの女子に手招きをされて渋々向かっていった。
女子生徒
あー、もう行っちゃったぁ
女子生徒
しょうがないよ、みおちゃんだもん
女子生徒
まぁねー、あの人が相手じゃねぇ
先ほどまでキャーキャーと騒いでいた女子たちが、マネージャーの登場に落胆するような、諦めの言葉を口にする。
マネージャーの人は、澪さんっていうんだ。綺麗な人……。
ストレートの長い黒髪を後頭部で一本に束ねていて、風が吹くたびにサラサラと揺れている。
スタイルも良くて、街で会ったら芸能人か何かと間違えてしまいそうなほどに。
部員が顧問の先生に集められた。何を話しているのかは聞こえないけど、その中でもあの澪さんと、さっきゴールを決めた浅野さんは、とても仲が良さそうに話している。それこそ、他の部員そっちのけで。
あ、先生に怒られたっぽい。ふたりで顔を見合わせて笑っている。
付き合ってるのかな。まぁ、私には関係ないことだけど……。
渡瀬澪
渡瀬澪
ねぇ、あなたたち、もしかして入部希望とか?
西川梨子
西川梨子
え? わあ!?
もう少ししたら帰ろうかななんて考えていた時。フェンスを挟んですぐそこに、澪さんがいた。
び、びっくりした……。終わったんだ、顧問の先生の話。
杉知宏
杉知宏
あ、はい、俺は中学でもサッカー部だったんで
渡瀬澪
渡瀬澪
そうなんだ。良かったら、練習参加してみない?
杉知宏
杉知宏
え、でも邪魔になるんじゃ……
渡瀬澪
渡瀬澪
そんなことないよ、大歓迎! すでに、他の一年生にも参加してもらってるんだよ。名前は?
杉知宏
杉知宏
すぎ知宏です
渡瀬澪
渡瀬澪
知宏くんね。私、二年の渡瀬わたせ
知宏が澪さんと話し始める。
澪さん……じゃなくて、二年生だから澪先輩か。
一年違うだけでこんなに大人っぽくなれるものかな。
……いや、私じゃ来年になってもきっと無理。
自分の、セミロングの髪の毛をつまんでみる。髪を伸ばしたからって、近づけるものでもないだろうけど。
知宏もグラウンドに入るみたいだし、私は帰──
渡瀬澪
渡瀬澪
あなたも、よかったらどう?
西川梨子
西川梨子
……え?
明らかに私に向けられた澪先輩の声色に、まぬけな声を漏らしてしまう。
西川梨子
西川梨子
いえ、私、女なのでサッカーは……
渡瀬澪
渡瀬澪
うん。だからね、マネージャーやってみない?
西川梨子
西川梨子
はい?
マネージャー? サッカー部の? え、何でいきなり?
もう一度グラウンドを見る。男子ばかり。……うん、当たり前。
西川梨子
西川梨子
い、いえいえいえ! そんな! 無理……っ
顔の前で手をブンブン振って断ろうとすると、澪先輩はパンッと手を合わせた。
渡瀬澪
渡瀬澪
お願い、困ってるの! マネージャーってね、今私ひとりしかいなくて。すっごく大変なの
西川梨子
西川梨子
いえ、あの、私じゃなくても、なんかマネージャーになりたそうな人いっぱいそこにいるような……
こんな、今初めてサッカー部を見に来ただけの私を誘わなくても、それこそあの浅野さんっていう人に騒いでいた女子が両手で足りないくらいいるのでは。
渡瀬澪
渡瀬澪
だめなの、あの子たちじゃ。浅野くんにキャーキャー言うだけで仕事しないし、部の雰囲気悪くなる一方で
と言うことは、すでにあの中の何人かをマネージャーにした後だということで。
他に、どうやって断れば……。
西川梨子
西川梨子
あ、そうだ、あの、でも、私、サッカー全然分からないし
渡瀬澪
渡瀬澪
誰だって最初は初心者だよ!? 大丈夫! 私もね、中学からマネージャーしてるんだけど、さっぱり分かんなかったもん!
西川梨子
西川梨子
えっ、ええ!? な、何でそんなに私を……
渡瀬澪
渡瀬澪
だって、あなたなら
と、澪先輩はなぜか知宏をチラッと見る。
今までだんまりを決め込んでいた知宏が、澪先輩の気持ちを汲むように、口を開いた。
杉知宏
杉知宏
いいじゃん、梨子。やってみれば? 入りたい部活もないって言ってたじゃん
西川梨子
西川梨子
えっ、ちょ、知宏……!
私が男子苦手だって知ってるくせに!
渡瀬澪
渡瀬澪
そうなんだぁ~、ちょうどいいねっ
じゃ、ないです!
澪先輩が両手を組んで微笑む。
近くで見ると、本当に綺麗。可愛い……。
……って、違う、そうじゃない。
助けを求めたくてグラウンドに目を向けると、休憩中のサッカー部員が視界に飛び込んできた。
その中には、もちろん浅野さんの姿もあって。
一瞬。気のせいかと思うほど、ほんの一瞬。
……目が、合った。
杉知宏
杉知宏
大丈夫だって。俺もいるんだから
どっちの味方なんだか分からない知宏のアシストが、私をまたその場所に戻す。
澪先輩が不安そうに「だめ?」と上目遣いで私の目を覗いてくる。
……負けた。
西川梨子
西川梨子
分かりました……。やります、マネージャー