第16話
👠
私は瑠姫さんにお辞儀して、帰ろうとした。
「行きだって本当は迎えに行きたかったけどね」って、またさらっと甘い言葉を囁く瑠姫さん。
…内心、まだ一緒にいれることが嬉しかったりもする。
「行こっか」と瑠姫さんが、少し前を歩いて、私たちは公演を後にした。
自宅までの道は、瑠姫さんがホストを始めたきっかけや蓮さんを凄く尊敬してること、ホストという職に誇りを持っていることを話してくれた。
私はどちらかと言うと、人の話を聞くのが好きなので、瑠姫さんが話してくれることが正直楽だったし、瑠姫さんの話に純粋に興味を持って聞き入っていた。
ちなみにホストになったきっかけは、蓮さんに誘われたかららしい。
高校の先輩らしくて、職に困ってる時に今の店を紹介してくれたみたい。
(瑠姫さんが尊敬してるぐらい、蓮さんも良い人なんだろうなあ。)
まあ、さすがに年上の方を呼び捨てするのは、なんとなく嫌だし失礼な気がする…
…けど、確かにさん付けは距離感がある。
言葉を止めた私を不思議そうに覗き込む瑠姫さん。
(こんなこと思うなんて…言っていいのかな…)
ウザがられるのを覚悟で私は
改めて自分の発言したことに恥ずかしさを覚え、瑠姫さんの目を見れなくなり、下を向いた。