第32話
👠
るっくんのおかげで、今日は何だか調子が良く、終礼後に店長から今日の売上がいつもの2倍だと聞いた。
(るっくんパワー恐るべし。)
控え室に戻り、先輩キャストとお話しながら着替えていると、LINEの通知音が鳴った。
(るっくんだ。)
私は急いで支度を済ませて、キャストに挨拶をし、店を出た。
表口に行くと、壁に寄りかかって音楽を聴いているるっくんがいた。
私はるっくんの肩をトンっと触った。
るっくんはそう言って、私の頭を撫でた。
同時にるっくんは自分の左手を差し出した。
私はそれに応え、るっくんにくっつきながら、手を繋いだ。
本当にるっくんは優しい。
手がすごく冷たかったから、30分は待ってただろうに、私のこと全然責めないでいてくれる。
(…好きだなぁ、)
私が言うと、るっくんは白い肌をほんのり薄い桃色に染めた。
照れてるるっくんの顔が可愛くて、少し意地悪してみた。