第11話
👠
終礼が終わり、控え室で着替えて、キャストに挨拶をし、店を出た。
私の自宅は、お店から15分ぐらい歩いたところにある高層マンション。
私の好きな曲を流して、タバコを吸いながらゆったりと帰路を歩く。
割とこの時間が好きだったり。

聴いている曲の歌詞を考えて、また、悲しくなる。
自宅に着き、部屋着に着替えて、ベランダでまたタバコを吸う。
1人になると、やっぱり彼のことを思い出して、涙が出そうになる。
その涙を止めるために、またタバコを吸う。
最近の私はこの繰り返しだ。
吸殻を灰皿にすり潰し、部屋に戻ると、テーブルにある瑠姫さんの名刺が目に入った。
いつもならお客様に貰ったプライベート番号は捨ててるんだけど、
瑠姫さんには、なぜか「かけたい」と思った。
(きっと人肌恋しいだけ…)
それでも身体は正直で、スマホを開き、瑠姫さんの番号を入力して、通話ボタンを押していた。
この人、本当にエスパーだ。
それに、話してて心地が良いし、安心する。
さっきお店で話した時とは違って、きっと瑠姫さんもこっちが素なのだろう。