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第1話

″日常″が変わる日
88
2020/12/24 08:03
『それじゃ、おつぷり~!』
その言葉と同時に、コメントには″おつぷり″と流れてくる。今日は日曜。公式放送の日だ。
ななもり。
ななもり。
終わったぁ・・・・・・
ここ最近、溜まっていた仕事を片付けていたので、少し疲れた。ライブも近いからなぁ・・・・・・
ジェル
ジェル
なーくん、大丈夫ですか?無理せんといて下さい
ななもり。
ななもり。
大丈夫だよ。ありがと
ころん
ころん
ライブまで一ヶ月切ったねぇ
莉犬
莉犬
ねー。楽しみだなぁ
ななもり。
ななもり。
久々に皆の顔が見れるよ
さとみ
さとみ
だからって無理しないで下さいよ?
るぅと
るぅと
そうですよ。程ほどに頑張ってください。僕達も居ますから
ななもり。
ななもり。
ふふ。ありがと
優しい仲間達とリスナーさん。ネットで活動しているということもあって、色々と言われるけど、皆を喜ばせるためなら何でもするつもりだ。
ななもり。
ななもり。
(早くライブの日にならないかなぁ・・・・・・)
しかし、俺らは知らなかった。公式放送がこれで最後なこと。ライブは
一 生 や っ て こ な い こ と を。
プルルルル、プルルルルルと、スマホの呼び出し音がなり、俺は目を覚ました。
ななもり。
ななもり。
んん・・・・・・うるさいな・・・・・・はい。なんですか?
さとみ
さとみ
『なーくん!良かったぁ・・・・・・』
出てみると、慌てている感じのさとみ君の声が聞こえた。
ななもり。
ななもり。
さとみ君?どうしたの?
さとみ
さとみ
『俺の説明より、ニュースを見た方が分かると思います』
ななもり。
ななもり。
ニュース?
そう言われ、俺はテレビをつけた。
『生存者の皆さんは、絶対に屋外に出ず、屋内で待機していてください!』
ななもり。
ななもり。
は?生存者?
『ウイルスに感染しないように、消毒も忘れずに・・・・・・石原さん?石原さん!』
ヴぁぁぁぁぁ
血のような塊が見えた映像。その途端に、映像が映らなくなった。
ななもり。
ななもり。
さ、さとみ君・・・・・・これ、どういうこと?ドッキリだよね?そうだよね?
テレビの映像の最後に映っていたものを見て、すべてを悟った。俺の声は震えていた。
さとみ
さとみ
『・・・・・・現実です』
そんな俺を悟ったのか、さとみ君の声はとても落ち着いていた。落ち着いていたが、どこか現実だと思っていないような悲しそうな声だった。俺の中で何かが壊れた。
さとみ
さとみ
『一応、メンバーとは全員連絡がとれてます。今のところ、全員無事です』
ななもり。
ななもり。
STPRのスタッフさんは?
さとみ
さとみ
『まだ・・・・・・』
ななもり。
ななもり。
・・・・・・そっか
さとみ
さとみ
『・・・・・・今から、全員でそっちに向かっても良いですか?メンバーと居た方が良いと思うので・・・・・・』
ななもり。
ななもり。
・・・・・・分かった。家にある全ての食料と水、最低限の必需品を持ってくるように言っておいてくれないかな?
さとみ
さとみ
『はい。絶対に全員無事で連れてきます』
ななもり。
ななもり。
宜しくね
そう言って、電話が切れた。
ななもり。
ななもり。
・・・・・・ハハ、ハハハ
いつの間にか俺の瞳からは涙が溢れていた。今日は月曜。俺はたまたま仕事がなかったけど、リスナーさんは学校に仕事。朝早くから出掛けているだろう。
″日常″が変わる日。
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サクシャルル(何言ってんだ)
クリスマスイブに何書いてんだろ自分。

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