私が目の前の彼の名を呼ぶと、なんや?と聞きなれた関西弁が帰ってくる。
雨のせいで髪がしっとりしてて、綺麗だなとか思ったのは思春期のせい。
だと、思う。
緑色の綺麗な瞳をこれでもかと言うほど大きく見開いて、それからふっと笑った。
ジェルの癖だ。
そうやって、優しく笑うのは…___
昔からずっと慣れない。それをやられたらジェルの目を見ることが出来ない。
だから今回も雨を気にしてるふうに上に視線を向けた。
照れてなんて、ないし、
昔から、ずっとだから、
告白されてから意識し始めるとか性格悪いし、
だから、好きになっちゃ、ダメ。
ジェルに悪いもん。
ジェルは少し考えるふうに首に手を当ててから口をゆっくりと開いた。
少しジェルが唇を噛む。
過去のことを掘り返されるのは少し辛いもので。
胸が少し痛む。
しっかりと目線を私に向けて、今度は力強く口を開く。
こんなジェル初めて見たかも。
ジェルのか細い声は、雨の雑音で、耳をすませば聞こえるのがやっとだった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。