やめて、
そんな優しい声で、私の名を呼ばないで。
今度は、力強く。
雨の雑音や、冷たさなんて感じないほどにジェルのことしか見えない。
『好きや』
ドンッ
知らない人が目の前にいるみたいで、怖くなってジェルを突き飛ばす。
ぽろぽろこぼれる涙の意味もわからないまま
私はジェルに酷い言葉を投げつけた。
あれ、私何言ってんだろ。
好きになるのなんて、自由じゃん。
ジェルに言わせないで、我慢させてたのは自分じゃん。
なんで、なんで……
ジェルが謝るの?
どうしてそんなに傷ついた顔をしてるの?
強くなる雨の中、買ったばかりの折りたたみ傘を急いで拾い。
突き飛ばして尻もちをついたままのジェルを後にして、ただただ走った。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。