第123話

これ以上失ってたまるか!!
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2021/08/31 09:00
アザゼル・アメリ
全く………鏡屋敷に生徒が入ったのですか
ナベリウス・カルエゴ
タルト・ヴェロニカがな
アザゼル・アメリ
ーッ!?タルトが…?
アザゼル・アメリ
あんな危険な屋敷、彼女が入るなんてあり得ません
ナベリウス・カルエゴ
ああ。自分から入るなんて“誰かに吹き込まれる”以外ないだろう
彼女はそもそも“鏡屋敷”の存在すら知らない
アザゼル・アメリ
では、一刻も早く探し出さないと…!
アザゼル・アメリ
……先生、これはイルマ達は…
ナベリウス・カルエゴ
知らないだろうな。
元々昨日彼女の家族から連絡が入ってはじまった話だからな
アザゼル・アメリ
(ではシャックス・リードも知らないというわけか…)
アザゼル・アメリ
鏡屋敷は今どうしてますか?
ナベリウス・カルエゴ
封鎖している
生徒が1人入ってしまったんだ。
これ以上無駄なゴミが出てたまるか
アザゼル・アメリ
…そうですか…
ナベリウス・カルエゴ
お前も入ってはダメだ
いくら生徒会長とはいえこの悪魔学校バビルスの象徴でもある
その象徴まで消えてしまえばそれこそ学校は混乱する
アザゼル・アメリ
生徒を助けるのも生徒会の役目です!
ナベリウス・カルエゴ
…言いたいことはわからなくもない
だが生きているかさえ不明な今、無闇に入れるような状況でもないだろう
アザゼル・アメリ
……はい
私が入学する前の話だから、お父様から聞いた話だった
鏡屋敷…
そこは元々、ただの物置だった
だが生徒達による“いじめ”のせいで閉じ込められてしまった少女がいた
誰にも気付かれず、誰にも出してもらえず
彼女の家系能力は壁をすり抜けるような能力だったらしい
彼女はなぜわざわざ出なかったのか?
きっとそれは恐れていたからだ
だから彼女は“壁の外”ではなく“鏡の中”へ住み着いた
アザゼル・アメリ
…無事でいてくれ…タルト…










ー教室ー
鈴木入間
あれ、タルト欠席?
シャックス・リード
みたいでさー
レイジー
………
イクス・エリザベッタ
レイジーちゃん、顔色悪いけど大丈夫?
レイジー
大丈夫!
ナベリウス・カルエゴ
粛に
レイジー
カルエゴ卿!
ナベリウス・カルエゴ
…貴様には後で話がある
今日の1時間目は自習になった
レイジー
………



ー廊下ー
レイジー
…なるほどね
ナベリウス・カルエゴ
今は立ち入りできん
こちらも混乱が落ち着くまでは無闇に動けん
レイジー
はぁ⁉︎大人しく座ってろって言うの⁉︎
ナベリウス・カルエゴ
貴様に何ができる
レイジー
一刻も早く助け出さないとタルトが!
レイジー
アメリアもリリィも心配してた!
こっちはもう3人も失ってる!
レイジー
これ以上失ってたまるか!!
ナベリウス・カルエゴ
………
レイジー
…不公平すぎるでしょ…
あんだけ頑張ってた人が…あんだけ人に希望をあげた人が…なんで…なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ!
ナベリウス・カルエゴ
…昨日のヴェロニカは、いつも通りだったか?
レイジー
……うん。
ただ他のクラスの生徒から呼び出し受けてたけど
ナベリウス・カルエゴ
(他の生徒から…?)
ナベリウス・カルエゴ
名前はわかるか?
レイジー
わかんないよ、見たことないやつだったもん
ナベリウス・カルエゴ
そうか…
貴様ももう教室に戻って静かにしていろ
レイジー
…うん

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