第52話

あの日に誓った決意:前編
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2021/08/05 05:00
私たちの世界は、とても穏やかな星でした
国をまとめ上げた貴族の名を、“ヴェロニカ家”
始まりは虚
私たち魔導書の役目は、戦闘時における殺戮兵器として活躍することでした
だけどをこの世界の景色を見た時、私たちは何を壊せば良いのかわからなかったほど、平和な世界だったのです
そして、暗闇の中で出会った5歳の少女
それが_
タルト・ヴェロニカ
初めまして。ヴェロニカ家次期女王候補の、タルト・ヴェロニカです
年相応とは思えないほどのしっかりした挨拶をしたその少女こそが、現在の陛下
それが、私たちと彼女の出会いでした
アメリア・ストレチア
えぇーっ⁉︎元の場所に戻してきた方がいいのでは⁉︎
※当時7歳
アリシア・ストレチア
名前なんて言うのー?かわいー!
※当時6歳
サジェス
サジェスです
リリィ
…リリィ…なの
ニーチェ
ニーチェだ
最初は戸惑い
だけど触れ合っていくうちに笑い合い
私たち6人は、仲良く平穏に暮らしていきました
その半年後、反勢力軍であったトリヴィア家率いるグループとの衝突
当時は休戦する代わりに、人質交換も行なっていました
その対象となったのが、タルトでした
サジェス
あなたは本当にそれで良いのですか?
いつ殺されてもおかしくないのですよ
タルト・ヴェロニカ
でも、何回も人質交換されてきて慣れてきちゃったというか…これが私の普通だから
大丈夫だよ
彼女の“普通”は、私たちにとっては“異常”だった
彼女はそこでレイジーと初対面したようです
そこでは無事に帰ってきましたが、レイジーはある条件を申し込んできました
レイジー
タルトをくれたら戦争終わりにしてあげるっ!だからちょーだい
王宮の者はすぐに彼女を差し出しました
だけど拒んだのは本人と私たちだけ
幸いにも、街の人々も反対してくれました
そして、それから7年後
戦争は悪化し、窮地に追い詰められていきました
タルトは12歳という若さで、最後の王妃となられました


陛下のご両親は、何者かによって暗殺されたそうです。


そう、陛下の口から語られました
誰よりも周りのことを考え、希望を照らし、心を燃やし、強く、美しく、
儚い彼女の存在を、誰もが認めていました
そんな彼女でも、死にかけた時はありました
頼ることを知らない彼女は、“身投げ”とも呼ばれているリュエール・デ・ゼトワール           
切   り   札
を酷使していったことにより
体が反動に耐えられなくなり、辺りはその反動とも呼ばれる“爆発”に巻き込まれ
重傷を負い、2年間戦うこともできなくなったのです
それでも、白銀の書の“鍵”の中に隠していた彼女自身の魔力によって、命は紡がれていったのでした

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