第41話

Believe
2,009
2021/07/31 09:00
シャックス・リード
レイジーと婚約してるって、本当なの⁉︎
いつになく真剣なリードだった
てかレイジー、なんてことを言って…
リイン
…好きでもない奴と結婚なんてするわけないでしょ…
シャックス・リード
…だ、だよねっ
よかったー
リイン
え?
シャックス・リード
え?あっ、よかったっていうのはリインが他の悪魔と……じゃなくて、えーと
シャックス・リード
この歳でだから驚いてて、みんな心配してからそっちの方でよかったなーって…
リイン
そ、そっか
どこか安心したような、いつものリードだった
リイン
…悪周期ってすごいのね。本当に別人みたいだった
シャックス・リード
リイン
目つきも悪くなるし、性格も荒くなって…でも、実を言うとそれが本当の私なのよね
シャックス・リード
リイン
ほら、他に聞きたいことは?
シャックス・リード
えっ……聞いちゃっていいの?
リイン
今更隠したって無理に決まってるじゃない
シャックス・リード
そ、そっか…じゃあ
シャックス・リード
名前…レイジーが言ってたタルトって
リイン
私の本名。タルト・ヴェロニカ。
はい、他は?
シャックス・リード
なんで隠してたの?
リイン
異世界渡航者だから
シャックス・リード
⁉︎
リイン
…堕天したのよね
シャックス・リード
だて…えっ…⁉︎
リイン
10年前まではこの世界みたいに穏やかだったのよ。でも10年前から戦争は悪化。世界と大切な人を守るために、武器を持って、心を燃やして、希望を照らした。だけど私の力じゃどうにもならなくて、大切な“鍵”も失くした
私は白銀の書を見ながら言った
リイン
その私の世界を襲ったのが、レイジー。レイジーが欲しいのは“私”じゃなくて“私の魔力”
私はみんなの優しさに甘えて、堕天したの。その時はアメリアも酷い怪我を負ってて、白銀の書も消滅寸前だった。だから封印して、アメリアには内緒で1人でこの世界に来た
リイン
10年ぶりだったの。死体のない道を歩いたのは。壊れてない建物や賑やかな街を見たのは
リイン
ただ学校に行って、みんなと笑って、帰って、美味しいご飯を食べて、暖かなベッドで寝て。そういう平凡な生活を守りたかったんだなって思うんだ
シャックス・リード
………
リイン
大抵の人は、不幸だって言うけど、私はそうは思わない。大切な人たちに出会えて、屍を積み重ねて生き延びてきたんだもの。幸せ者じゃない
ずっと、黙り込んだまま
まあ、当然よね
リイン
ほら、ここから出ていくなら今よ。
さっさとみんなのところに戻……
シャックス・リード
……!✨
リイン
……え
なんでこの悪魔目をキラキラさせてこっち見てるの……
シャックス・リード
えっ、やばっ、カッコよ、え、なに⁉︎
天使の国の王女様だったの⁉︎
リイン
………
こいつ、話を聞いてたのだろうかと不安になる
リイン
…話、聞いてた?
シャックス・リード
聞いてたよ?
なーんだそんなことか!
リイン
…は?ポカーン
シャックス・リード
あ、そんなことって故郷のことバカにしてるわけじゃないからね
シャックス・リード
今更何言ってんの!
リードは満面の笑みで
シャックス・リード
僕達問題児アブノーマルだよ?
今の話を聞いてる限り、タルトも十分問題児アブノーマルじゃん
リイン
は……え…?
シャックス・リード
つまり、いつも通りでいいってこと
リイン
あ……えっと
の…呑み込みが早い…
シャックス・リード
で、故郷の方はどうなってるの?
リイン
…そのレイジーによって占領されてる。
だから、アメリアと奪い返すって決めてて
アンドロ・M・ジャズ
超面白そうじゃんそれ。
俺も混ぜてよ
シャックス・リード
ジャジー⁉︎イルマくんたちも⁉︎
鈴木入間
ここにいたんだね!よかったぁタルト見つかって!
アスモデウス・アリス
ヴェロニカ、貴様本当に迷惑をかける奴だな…
ウァラク・クララ
おーじょの家行きたい!
リイン
おーじょ⁉︎
ウァラク・クララ
王女様だから
シャックス・リード
なんだー、みんな話聞いてたのか
鈴木入間
ここにいる人だけだけどね
シャックス・リード
…ま、そういうことなんだよね。
これでもまだ逃げ続ける?
アンドロ・M・ジャズ
そんなヘタレだったか?王女様は
リイン
ムッ
リイン
………
タルト・ヴェロニカ
誰も逃げるだなんて、一言も言ってないよ。
私は真正古代天使界エンシェント・アンジュ最後の王妃、タルト・ヴェロニカ
武器を持ち、心を燃やし、希望を照らす者なんだから

プリ小説オーディオドラマ