数日後、私は完全に復帰した。
今日のヘリ担当は私と灰谷先生と雪村さん
私は灰谷先生と共にヘリに乗り、現場へ向かう。
その途中、患者の様態が悪いと知った灰谷先生が着陸を促す発言をした。
いきなり揺れたかと思うと、ヘリは真っ逆さまに落ちていく。
ーガン、ガン!ー
頭を二度うち付けて血が垂れてくる。
雪の声で、みんなの動きが止まる
未だに流れる血とふらつく足元を無視して、とにかく患者さんを助けようと動き回る。
その時、視界がグルグルと回る
吐き気がする
私はその場に吐き、膝から倒れ込んだ。
吐き気は止まらない。
無線から耕作の怒鳴り声が聞こえる
また吐きそうになり、仰向けの体を何とか横に向けて、地面に吐き出す。
灰谷先生が来た…
私は意識を失った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!