プルルル
《佐倉消防より、ドクターヘリ要請です!佐倉第二小学校付近の川で男児が溺れ、心肺停止です》
藍沢先生、雪村先生はヘリで現場へ向かった。
ヘリから降りると川のそばに横たわる男児と心臓マッサージをする女性の姿が。
雪村先生はなにかに気づいた様子だったが、藍沢先生はそれよりも女性がずぶ濡れなことに気を取られた。
そう言うと、女性は藍沢先生達の方に向いた。
ずぶ濡れ具合が色気を出しているとても美人な女性は藍沢先生達を見つけると、安心したような表情をした。
心臓が動きだした男の子はそのままヘリで翔北へ運ばれて行った。
現場に残った女性ーーー雪は、
小さく咳をして、胸を抑えた。
ドクドク、ドックンドクドック
救急隊員が背中をさすっていると落ち着いた。
雪はそのまま自宅へ帰った。
ずぶ濡れのまま30分ほどかけて帰った雪の体は冷えきっていた。
ピンポーン
あー、不整脈のことか
耕作は部屋に上がってソファに座ると膝の上に私をのせた。
カバンから聴診器を取り出すと、私の胸の音を聞いている。
耕作は分かってるくせにわざわざ聞くんだよね…
うっ、説教モードになっちゃった…
こうなるととことん説教されるんだよね
まあ私のことを思って怒ってくれてるんだけど…
目の前に助けを求めている人がいて、私はそれを助けてあげることができるなら諦めたりしない。
その日、耕作は私の部屋に泊まった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!