あっという間にスポーツ大会の日
色々あって、運動音痴のタイガから
ハズレくじを任されてしまった黒須 洸。
女子の欠席者は0人。
男子は珍しく優勝を目標に情熱を燃やしていた
只今より、2A対3Bのバスケ1回戦を行います
クラスの女子だけでなく、大勢の女子達が集まって、キャッキャと騒いでいる
バスケコートで、倉持がいつものごとく黒須の肩を組んで絡んでいる
倉持の、視線の先にはあなたがいた
倉持はあなたに向かって手を振った
試合が始まり、あっという間に勝負がついた
バスケコートを囲む女子たちが
飛び跳ねながら叫んでいる
試合後、倉持がすごい勢いで
黒須を引っ張りながら走ってきた
倉持は笑いすぎて、
これ以上息が吸えなくなっている
倉持を無視して会話が進む
倉持は黒須を親指で指し示す
今日のスポーツ大会で分かったこと
どうやら黒須くんは、
スポーツのルールを知らない
ということ
なのに
点を入れまくり
クラスのやる気に拍車がかかり
2Aは史上初の全勝を記録、
優勝クラスとなった。
遠くから
放課後____
あなたさん?
私、これから委員会に行かなきゃいけないの
だからこれ、体育倉庫に返しておいてくれないかな?
私は、クラスメイトにそう言われて
体育倉庫にゼッケンを返しに行った
体育倉庫にゼッケンを置き、
倉庫から出ようとしたとき
体育館の中央には、
黒須 洸と先程のクラスメイトがいた
私は咄嗟に陰に隠れた
体育館に女生徒の声が響いた
その言葉を聞く前に
女生徒の目から大量の涙が溢れてきた
女生徒は、勢いよく黒須に抱きついた
女生徒はぎゅーと黒須に抱きついて離れなかった
黒須は何も言わずにただじっと、
彼女の話を聞いている
あなた、それは違うよ…(筆者)
女生徒はポケットからカッターを取り出す
カッターを持った右手は、小刻みに震えている
黒須は、何かを諦めたかのように
女生徒に近寄ってそっと抱き寄せると
優しく頭を撫でた
女生徒がカッターを下ろすと同時に、
すかさず自分のポケットにしまった
私は、突然全身の力が抜けたような気がした
身体の真ん中が痛くて
締め付けられるようだった
その日は
2人が出ていくまで
私はずっと倉庫の陰で
しゃがみこんでいた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。